相続税や贈与税では配偶者が優遇されています。
相続税にはよほどたくさん受け取っていなければ、税額軽減の制度で納付税額が0円になるという制度があります。
贈与税にも配偶者控除があり、財産形成には配偶者の貢献があることや配偶者の老後の生活保障を意図しているであろうことへの考慮がされています。
どちらも要件は低め
一般庶民の夫婦ならそれほど高い壁ではありません。
相続税は他の相続人と比べてもらいすぎていない程度の割合(2分の1や3分の2などの法定相続分)であれば、金額の多少は気にする必要はありません。
例えば他の相続人から「お母さん、おつかれさま!」と賛同を受けて全ての財産の相続を受けたとしても、課税価格(財産の評価価額)が1億6000万円までの相続であればその金額の全額を税額控除できるため税額は0円になります。
贈与税では居住用財産やその取得資金という縛りはありますが、最高2000万円を課税価格から差し引くことができます。
婚姻の届け出があった日から贈与の日まで20年以上という長期間にわたって付き添うという要件もありますから、購入当初は大豪邸だったとしても贈与の時点で2000万円というのは多くのケースであてはまるでしょう。
一般庶民のところにも税務署の目が
相続税での税額軽減や贈与税での控除を受けなくても税額が発生しないのなら申告書は提出しなくてもかまいませんが、配偶者についての税額軽減や控除を受けるためには必ず申告書を提出してください。
申告書が提出されていないのに何億円も財産が移動していることをもし税務署が把握したら、「どうしてだ?」なんて思われかねません。
税制が少子化対策に影響
結婚の晩婚化や未婚化が進んでいることを思うと、この制度がだんだん意味を成さなくなっていきます。
相続税や贈与税での配偶者に対しての優遇があることがあまり知られていないからかもしれません。
ただ配偶者を優遇する制度は所得税にもあるのです。
これから年末調整の時期になって、配偶者の有無によって所得税の税額に影響が出ることを知るきっかけが増えるはずです。
晩婚化や未婚化を考える際に、相続税や贈与税でも優遇税制があるということをもっとアピールすることが少子化対策の一つとはなり得ませんでしょうか。