私が勤め人になった月に受け取った初任給はたしか20万円弱でした。
しかし最近の初任給は30万円をゆうに超える会社が増えているようで、優秀な人材を確保しようとするためにと躍起になっているようです。
「初めての月給が30万円」だなんて、長年サラリーマンを勤めてきた宮坂さんの今の給料よりも高額です。
☆Yahoo!ニュース「大手の初任給、30万円台相次ぐ」共同通信 https://news.yahoo.co.jp/articles/8c0383878fca82fcbe36fc6d5412bc31ea5451d1
モチベーションの低下と離職のリスク
先輩よりも新人の給料が高くなると、その会社が成り立たなくなる心配があります。
先輩社員の方が経験やスキルを持っているのに新人より給与が少なければ、そこに不公平感が生じるからです。
それが原因で優秀な社員が離職してしまうと、生産性や成長に悪影響を及ぼします。
成果主義で成り立っているのなら

もしその企業が成果ベースでの給与体系であるのなら、新人が高い給与でも問題になりません。
例えば、営業職で即戦力の新人が高い成果を上げてそれに見合った給与を支払われるのは合理的です。
どうか適切な評価制度で
先輩の給与が相対的に低くなることに注目するのではなく、新人の給与が高いことが業界全体の人手不足解消や市場競争に貢献しているような事実があれば問題にはなりません。
ただし給与体系が不透明だったり先輩の昇給がないまま新人の給与だけが上がると、組織全体の不満につながります。
企業は限られた予算の中で人件費を管理するため、バランスを誤ると経営が難しくなるからです。
ノウハウを残したい

短期的には「優秀な新人を高い給与で確保する」という戦略は成り立つかもしれませんが、長期的には先輩社員が作ってきた企業のノウハウが失われることになるわけですから組織の安定性が崩れてしまいます。
日本労働組合総連合会の芳野友子会長も、人材確保だけでなく定着やモチベーションの維持・向上も含めた協議が必要と言っています。
☆Yahoo!ニュース「賃上げの流れを中小企業まで」連合会長 https://news.yahoo.co.jp/articles/9c95e1fc8d095d8e8c29095ebd713fa3990ed6ba
中小企業や外国との大きな格差

ただこんな賃上げをできるのは一部の大企業だけで、中小企業では困難を極めます。
従業員数の割合は大企業は企業全体の3割に過ぎず、企業数で言えばたった0.3%。
つまり、大企業だけが初任給を上げても大きな流れにはならないという意見も聞かれます。
そして私がこういった話題で一番気になることが、国内企業間との格差ではなく外国企業との格差です。
日本の水準は先進国の中でも低く、底上げしなければ世界から取り残されてしまうと言われています。
優秀な人材が中小企業から大企業に流れることよりも、外国に流れることが心配です。
本当は優秀かもしれない宮坂さんが外国に行ってしまったら、このブログにも出てきてくれなくなってしまうのではないかと。