太平の世が続いた江戸時代(山林所得)

 先日NHK-BS1で放送された番組「英雄たちの選択」で、江戸幕府の長期政権の秘密を取り上げていました。

 現在の愛媛県と高知県との県境にあった宇和島藩と吉田藩という2つの藩の境界をめぐっての争いを、幕府がどう対応したかがテーマです。

 実録 山里の境界裁判 〜発見!江戸長期政権の秘密〜 – 英雄たちの選択 – NHK

目次

藩のお城にも使っていたはず

 2つの藩の境界には目黒村(現在の愛媛県北宇和郡松野町)という山里があり、そこに住む百姓は材木の他に燃料・肥料・屋根葺きに使う萱(かや)の供給を生活の糧としていました。

 それぞれの藩主も仲が良くなく、目黒村周辺の領民にもその仲たがいが波及して境界争いとなったのです。

 目黒ふるさと館|愛媛のスポット・体験|愛媛県の公式観光サイト【いよ観ネット】

戦はもうしたくない

機関銃は無かったと思います

 材木をはじめとした山からの産物は、供給する側も需要を受ける側も身分や時代を問わず大切なものだったでしょう。

 江戸時代より前の領主たちは、何かいざこざが起これば武力を使って領土と産物を手に入れてきました。

 その後も現在でいう「行政」と「司法」が同体していた時代が続きますが、江戸幕府は百姓から申し立てを積極的に受け付けていきます。

 領主に任せていたら藩同士の戦になってしまいますから。

 番組の中では百姓からの訴訟を「百姓公事(くじ)」と表現して、これが守られていったことで幕府が長期間にわたって存続していったと結論づけています。

林業がんばってます

 所得税法第32条には「山林所得」という所得の種類があります。

 製材業者が自ら植林して育成した材木を伐採・製材して販売すると、この所得金額が発生します。

 ただし山林の保有期間が短い場合は、農業所得(事業所得のうちの1つ)など別の所得とされます。

 つまり、長期間にわたって植林や伐採を営んできた場合に該当します。

 これに該当すれば収入から必要経費を差し引いた後、さらに50万円の特別控除が受けられます。

 山林所得に該当する事業を営んでいる事業者への尊敬の念と言えるでしょうか。

 タックスアンサーNo.1480 山林所得|国税庁

百姓たちの幸福追求権

 百姓は自分たちの土地が無くなってしまうと生活が成り立ちませんので、幕府に対して主体性をもって訴えていきました。

 幕府側もその思いに報いようとして、次第に百姓から信頼されていきました。

 百姓の幸せを考えてもらえる権利が芽生えてきたのです。

 「三権分立」という考え方がまだ定着しておらず、行政と司法が一体だった時代に対応した政治を行った結果が幕府を長期間存続させた理由であると。

 現在の政権はそんな百姓を愛おしく幸せになってほしいと思っているかを問うたところで、番組は締めくくられました。

 少なくとも「50万円の特別控除」だけでは、リスペクトとしてはさみしいかなと思います。

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