10月3日に発表された日本維新の会の公約に「(主要税目を)減税し、簡素で公平な税制を目指す」とありました。
日本維新の会作成の衆院選政権公約マニフェスト「維新八策2024」基幹政策③より
https://o-ishin.jp/policy/pdf/ishinhassaku2024CorePolicy.pdf
おっ、どんどんやれやれ!
と思いきや、日本税制研究所の代表理事で税理士の朝長英樹さんが、6年前にこういうことをおっしゃっていました。
「簡素ではなく簡単とすべき」と。https://www.zeiseiken.or.jp/faq/sonota/sonota20180215.pdf
いつか見えなくなりますよ
税の三原則の中に「簡素」とあります。
これまで仕事をしてきた中で、どれだけそうあって欲しいと思ってきたことか。
年を経るごとに制度は複雑化。それはいたるところで容易に見て取れます。
申告書や届出書の様式の数はどんどん増えていき、既存の様式に限っても項目がますます多くなりました。
記載する欄や文字が小さくなっていく点でもよく実感できます。
もう辟易を通り越して恐怖を感じています。
私がそう感じるのですから、特に私よりも年配の方々からしたらその思いは想像に難くありません。
日本維新の会のマニフェストではこういったことを改善していこうという意図で考えられたのかと思います。
豪華絢爛なお着飾り
簡素の対義語は「豪華」であり、簡単の対義語は「複雑」です。
財務省や政府税制調査会は三原則にある簡素の意味を「納税者が税の仕組みを理解しやすいものとすること」と説明しています。
この説明表現は「仕組みが理解しづらいものではあってはいけない」「複雑であってはいけない」と言い換えられます。
間違っても「豪華であってはいけない」とは言えません。
そうするとこれは「簡単」の説明であり、「簡素」の説明ではありません。
国税庁「税の学習コーナー」より
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/oyo/page08.htm#:~:text=社会の構成員として,の制度としています%E3%80%82
矛盾なんかしていませんよ
今の税制度は「豪華」ではなく「複雑化」しています。
朝長さんは以前財務省主税局に勤務されていたそうなので、「複雑な税制度」を作っていたという実感が大きくあったのでしょう。
現実に起こっている「複雑」化と三原則にある「簡素」は対義語の関係ではありません。
どれだけ税制度が複雑になっても三原則の「簡素」とは両立し得るというのが財務省の考え方だと言い切ってしまうのは、深読みし過ぎでしょうか?
マツケン吉宗の「享保の改革」
簡素は質素と然り、それはさらに徳川吉宗が目指した倹約とも言えます。
さすがに税制度を倹約というわけにはいかないでしょう。
ただ「複雑にしておけば批判をする点を特定されにくくなる」という恐ろしい意見を聞いたこともあります。
ここでせっかく「簡素にしましょう」と言うのなら、「複雑さ」を否定する意味の「簡単」を目指してもらいたいと思います。
本当に脅威に感じていますので。
(赤と青の同じ色線は、それぞれ対応し合う対義語という意味です。)