介護施設に入れるのならどれだけ助かることか(老老介護)

 もうすぐ65歳になる宮坂さんのご両親は、今年で二人とも90歳を迎えます。

 お母さんは自宅で転倒してまったく歩けなくなったため、介護施設に入って車いすの生活。

 お父さんは施設に入らずとも杖があれば歩けますが、肺の持病に不安があって身体を動かすことが難しくなってきました。

目次

相手が友人のケースも

 老老介護とは高齢者が高齢者を介護する状況を言います。

 具体的には、65歳以上の高齢者が同じく高齢の配偶者・親・兄弟姉妹または友人などを日常的に介護するケースです。

 これは日本をはじめとする高齢化社会ではますます増加しており、介護を担う側と受ける側の両方に大きな負担をもたらします。

身体への負担

 高齢の介護者は、体力や健康面で限界を抱えながら介護を行います。

 体重が重い被介護者を介護する場合、介護者の腕力などが弱ければ体重を支えられません。

 おむつ替えや入浴介助では、介護者自身が腰痛や関節痛を患うかもしれません。

 高齢の介護者自身が病気や怪我で介護を続けられなくなるケースもあり、ともに介護を必要とする「共倒れ」の状況に陥ってしまいます。

経済的な困難

 老老介護の家庭ではどちらも定年退職をしていて収入が年金のみのということが多いため、介護費用や生活費が家計を圧迫します。

 車椅子や介護ベッドなどの介護用品費用は高額です。

 訪問介護サービスも高額なため、頻繁に依頼できません。

 介護を受ける側だけでなく、介護する側も持病や加齢によって通院や投薬が必要です。

社会的な孤立へ

 介護が生活の中心となってしまうと外出や趣味の時間が奪われて、近隣住民との交流や町内会活動に参加できなくなります。

 地域包括支援センターやケアマネージャーが活用できることにも思考が回らず、自分たちで何とかしなければと思い込みます。

 離れて暮らす子供や親戚にも負担をかけまいと一人で介護を抱え込む結果、孤立感が進んで相談相手がいなくなってしまいます。

昔は長生きしてほしいと思っていたのに

 老老介護では高齢化社会における現実的な課題が浮き彫りになります。

 身体的負担、経済的困難、社会的孤立などが複合的に絡み合い、介護者と被介護者双方に深刻な影響を及ぼします。

 長年の介護疲れや将来への不安から、介護者による自殺や心中事件が起こっています。

 おそらく「この人がいなくなればいいのに…」と考えてしまうのでしょう。

 このような状況に対応するには、家族・地域・行政が連携して介護負担を軽減する仕組みを構築することが重要です。

 また介護者自身が無理をせず、適切な支援を受けられる環境作りが急務といえるでしょう。

老老介護とは?共倒れなどの問題や予防策・負担軽減策を解説|みんなの介護

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