とっても税金の大好きな宮坂ZEI君は、今日も「税の学習コーナー」にチャレンジしています。
すると、国や地方公共団体も消費税を払わないといけないのかどうかを尋ねる問題が現れました。
いち少年ごときがそんな光景を見る機会なんてあるはずがありません。
その問題にとても悩んでいました。
☆国税庁税の学習コーナー「ZEI君の税金クイズ」Q27
税金をあつかう国、県や市町村などがものを買うときは、消費税を払わなくてもよいことになっている。〇か×か?
https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/cgi-bin/quiz/quizindex.cgi
ぱっと見、〇

消費税は事業者が「事業として」行う資産の譲渡やサービスの提供に課されています。
民間企業はともかく国や地方公共団体は、多くの事業については消費税の課税の対象外となる不課税もしくは非課税の取引として扱われます。
国や地方公共団体が行う事業のうち、例えば国や地方自治体が支払う補助金や助成金は対価がないことを理由に不課税取引です。
収益は欲しいな

しかしすべてのケースで絶対に消費税がかからないというわけではありません。
自治体が運営する病院や水道などの収益事業は文字通り「事業」にあたるため、課税取引となります。
国や地方自治体が対価を得て提供する物やサービスは、消費税法でいう「事業」に該当します。
以下のような事業は、たとえ国や地方自治体が行っていても課税取引となります。
国立や市立の病院が保険外診療(自由診療)の診察料や水道料金として受け取ることは「事業」として課税対象になります。「病院事業」「水道事業」と言われるその文字の通りです。
市町村の広報誌や国立の研究機関が研究資料を販売する場合も「事業」と言えます。
公営の施設使用料や公立の動物園・博物館の入場料も対価性がありますから課税取引です。
☆独立行政法人国立文化財機構「インボイス制度に関するお知らせとお願いについて」
https://www.nich.go.jp/news/21574/
本当は払わないといけないのだけど

前段は、国や地方自治体が消費税を受け取るかどうかの話でした。
国から消費税を支払うことについて、法律では「国や地方公共団体は申告も納税もしなくていいですよ」とは書いてありません。
しかし「もの」を買う時の消費税相当額がいくらであったとしても、払った金額は消費税込みの金額です。国であっても消費税だけを差し引いて支払ったりはしないはずです。そんな厚かましい国家公務員は皆さんが宮坂ZEI君でなくても見たことはないはずです。
ですから、上の税金クイズの「払わなくてもよい」かどうかの答えは「×」と考えるべきでしょう。

ちなみに、国や地方公共団体(一般会計に限る)は消費税の申告書を作成しません。
「受け取った消費税と支払った消費税は同じ金額にしてもいいよ」という規定が法律にあるからです。(消費税法第60条第2項)
「それなら申告書を作る必要は無いね」と解釈するという複雑なルールがあるのです。