相当久々に音楽の話題を思いつきました。音楽室の話です。
宮坂少年が通っていた小学校の音楽室には、ベートーヴェンなど近世ヨーロッパの音楽家たちの肖像画が壁に飾られていました。
その肖像画を見る度に「怖い」という印象を持ってしまい、それが音楽室に入ることも苦痛に感じるようになってしまいました。
現在の宮坂さんが楽器の演奏も音符を読むこともできない理由は、そういったトラウマがあるからだと本人は語っています。
宮坂さんのこのようなエピソードは、小説やドラマで取り上げられる「学校の七不思議」や「学校の怪談」の題材にもなっています。
楽器の販売促進

元々は全音楽譜出版社という楽器メーカーが楽器を学校に販売する際のおまけとして、作曲家の肖像画が描かれたカレンダーを配布したのが始まりと言われています。
このカレンダーが学校の先生に好評を受け、時期が過ぎてもカレンダー部分を切り取って引き続き肖像画を音楽室に飾る学校も出てくるようになりました。
そこから肖像画を飾る習慣が全国の学校の音楽室に広まっていきます。
教育的な意義
肖像画が音楽室に飾られるようになった背景には、以下のような教育的な意義も考えられます。
・音楽文化への導入:子どもたちが世界の音楽文化を知ります。
・敬意の対象:彼らの残した偉大な作品や功績に対して敬意を抱いてくれます。
・学習の助け:授業で作曲家やその作品について学ぶ際の視覚的な情報によって、より興味関心を引き出して理解を深めるようになります。
・雰囲気作り:音楽室という空間に音楽の歴史や文化を感じさせる雰囲気を生み出します。
時代による変化があったのか
ただ音楽室に肖像画を置くという規定は、学習指導要領など現在の文部科学省のホームページでは見当たりません。
1967年(昭和42年)から旧文部省が定めた基準によって掲示することになったとの情報もありますが、その根拠を探し出すことはできませんでした。
怖くない音楽室へ

それでも音楽室にある作曲家の肖像画は「楽器のおまけ」から広まり、その後に教育的な意義を持つようになったのです。
近年では、肖像画に嫌な思いを持っている宮坂少年のような子どもでもより音楽に親しみを持てるように、肖像画の顔がマイルドになったり掲示の仕方を工夫したりする傾向も見られます。
本当に基準がないならば、この傾向はだんだん虚構ではなくなっていくでしょう。
☆虚構新聞「音楽家の肖像画、今はマイルド」 https://kyoko-np.net/2022061001.html
☆教育音楽ONLINE「新学期!音楽室の環境を整えよう」 https://kyoikuongaku.ontomo-mag.com/coaching/4283/