アメリカの株式取引所で何人かの人たちがまとまって並んでニコニコしながら拍手をしていたりベルを鳴らしているニュースを、皆さんはご覧になったことがありませんか?
特にそれほど株価が上がっているわけでもいないのに、満面の笑みで喜んでいる人たちが映っているのです。
この光景を見る度に「この人たちは何をしているのだろう?」と、いつも不思議に感じていました。
本来は始業と終業のチャイム

ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック(NASDAQ)では、毎営業日の取引開始と終了時にベルが鳴ります。
毎日のオープニングベルとクロージングベルは市場の取引開始と終了を告げる重要な合図として取引の秩序を保つために不可欠で、これらのベルが鳴ることでトレーダーは取引を開始・終了します。
☆ニューヨーク証券取引所(NYSE)
https://www.nyse.com/bell/calendar
☆ナスダック(NASDAQ)
https://www.nasdaq.com/marketsite/bell-ringing-ceremony
特別なベルセレモニー

企業が初めて株式を公開して証券取引所に上場する際には、その門出を祝って関係者や招待客が取引所のベルを鳴らします。
その他にも、以下のような時に多くの関係者や招待客が集まり、拍手とともに盛大なベルセレモニーが行われます。
*企業の重要な記念日
*企業が掲げた大きな成果の達成
*社会的に意義のある活動を行った企業や団体を称える
*経済学者・経営者・スポーツ選手・政治家・俳優などの著名人がゲストとして招かれたとき
いつもはどうしているのだろう?
これらのベルを鳴らすセレモニーが、必ず多くの人が集まって盛大に行われることになっているのかどうかははっきりわかりません。
長い歴史を持つ株式取引所において、少なくとも伝統的な儀式の一部という意味合いでベルが鳴らされます。
ゲストがいない日や特別なイベントがない日は、取引所の関係者などが静かに比較的落ち着いた雰囲気の中でベルを鳴らす日もあるのではないかと思います。
しかしよくよく調べて見ると、よく見かける歓声とともにベルが鳴らされる日がほとんどのようです。先に上げたリンクから動画を見てみてください。毎日投稿されています。
トランプさんも頑張って!

このようにアメリカの株式取引所でのベルや拍手は単なる偶然ではないかもしれませんが、その日の始まりや終わりとともに特別な出来事を祝ったり称えたりするための意味のある行為なのです。
ベルを鳴らす習慣に合わせて、例えば新たな始まりを喜びながら成功を願おうとして拍手が起こります。
特に賑やかに鳴らされるベルや拍手が聞こえてくる日は「新人さんようこそ!」「これから頑張って!」というように迎えようと、市場で働いている関係者が新しい門出を祝うとともに成功を願う気持ちが表れるのでしょう。
☆日本経済新聞「今年の人トランプ氏、NY証取で打鐘 減税に意欲」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12EGD0S4A211C2000000/