サッカーの授業中以外でも、頭を相手や地面にぶつけた経験は何度もあります。
私のような体の小さかった小学生に限らず、誰もが派手に転んだり喧嘩をしたりもしていました。もう時代は変わっているかもしれませんが。
その時はぶつけた痛みや多少のめまいもありつつ、それよりも恐ろしかったのは頭の中でゴツンと響いていたということを覚えています。
脳振盪(のうしんとう)は通常、一時的な脳の機能障害を引き起こす軽度の外傷性脳損傷ですが、状況によっては命に関わる可能性もあります。
元Jリーガーの鹿山(しかやま)拓真さんは、選手生活を奪われた脳振盪に「目に見えない怖さがある」と語っています。
☆2025年2月5日付朝日新聞デジタル「選手生活奪う脳振盪」 https://digital.asahi.com/sp/articles/AST2321Y9T23UTQP00HM.html
脳振盪の危険性
多くの場合頭痛・めまい・吐き気や一時的な意識消失などの症状が現れますが、適切な安静の時間をとれば後遺症を残さずに回復すると言われています。
しかし十分に回復しないうちに再び頭部に強い衝撃を受けると、脳が腫れて致命的な状態になります。これを「セカンドインパクトシンドローム」と言います。
特に目の前に集中し過ぎていると無理をしてしまいがちですから、その後に症状が再発しやすくなるでしょう。
もし症状が長引いたりしている場合は、脳内出血や脳浮腫(脳の腫れ)が発生している可能性があります。
こうした場合は迅速な医療処置が必要であり、放置すると命に関わる可能性があります。
スポーツで

脳振盪は人や物との接触が多く、転倒のリスクが高いスポーツで起こりやすいとされます。
- 球技においては、ヘディング・タックル
- 格闘技においては、パンチ・キック
- 走行・滑走種目においては、選手との接触のみならず障害物への衝突でも
☆JAPAN SPORT COUNCIL(日本スポーツ振興センター)「脳振盪ハンドブック」 https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/business/female_athlete/tabid/1822/Default.aspx
車の運転中で

自動車の運転手は仮にシートベルトをしていたとしても、急停止の際に頭がダッシュボードやヘッドレストに強くぶつかることがあります。
安全運転を遵守してシートベルトを着用することで、事故の衝撃を軽減できます。
自転車やバイクではヘルメットを着用せずに運転をするとリスクが高まります。
歩行者と同じく自動車との事故に遭えば、頭に衝撃を受けることがあるでしょう。
すぐに病院へ

私と同じく派手に転んだり喧嘩をしたりしていた小学生の頃の宮坂少年は、自分よりも背が高いテレビ台の引き出しを手前に強く引き過ぎてしまい、それを倒したことがあります。
当時はブラウン管のテレビですから、小学生では持ちきれない程の大きさと重たさ。
それを宮坂少年はなんと頭で受け止めてしまいました。(要は下敷きです)
それから恐る恐る目を開けると、床に染みが見えます。
続いて頭部に激痛、そして涙と悲鳴が…
しかしなぜか救急車ではなくタクシーで病院へ。
涙と悲鳴が続くのなら意識は大丈夫だろうという先生たちの判断だったのでしょう。
結局は「たんこぶが治るのを待つ」という診断が下されました。

脳振盪そのものは命に関わることは少ないですが、適切に対応しないと重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
頭を強く打つ事故があった時は慎重に経過を観察し、以下の症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診してください。
- 意識が戻らない
- 朦朧としている
- 嘔吐を繰り返す
- 手足が動かしにくく、またはしびれる
- 視力障害
- 会話の困難
- 異常な行動