「逃げるは恥だが役に立つ」は、新垣結衣と星野源の主演でテレビドラマ化された人気漫画として、すっかりおなじみのフレーズになりました。
☆TBSテレビ「逃げるは恥だが役に立つ」 https://www.tbs.co.jp/NIGEHAJI_tbs
ハンガリーからの教え

この言葉は、元々ハンガリーのことわざです。
一旦考えると表面的には「困難や問題から逃避することは恥ずかしい」と捉えられがちでも、実は「無理に立ち向かうよりも、状況によっては逃げる選択が有効な場合がある」という意味が込められています。
I is a pen? You is not the pens.
私の通っていた東京都立成瀬高校は、町田市内では進学校と言われていました。
少なからずそういった実績があってか、3年生になるとほとんどの同級生が大学受験を志望します。
その場合大半の大学ではセンター試験(現在の共通テスト)を受けなければならず、私にとって極めて不得意な英語科目は避けて通れません。
すでに中学1年生の頃から5年間挫折し続けている教科なのに、さらにセンター試験にまで首を突っ込むことはとても無謀で考えられません。
加えてその他の科目においても特に得意なものは思い当たりません。
結局は就職を志望し合格できましたが、大学受験からは「逃げた」のです。
孤独から芽吹くことば

1月31日付の朝日新聞朝刊「天声人語」で、写真家の齋藤陽道(はるみち)さんの言葉が紹介されていました。
本人には元々聴覚に障害があり、周りの人の言うことが理解しづらかったそうです。
しかし14歳のときの齋藤さんは自身のプライドを気にしてしまい、周りに「わからない」と言えません。
すると意思の疎通が難しくなります。
次第に会話が減っていき、周りとの孤独感が深まります。
齋藤さんは「消えたい」「死にたい」とまで追い詰められていきましたが、ろう学校への転校を決心。
そこで手話を学んだことによって、言葉とは音声だけではないということを知ることができました。
逃げたことでチャンスがやってくる
この考え方は「逃げ恥」に限らず、他の人気漫画やテレビドラマにも題材として取り入れられています。
そこではキャラクターたちがそれぞれの事情や価値観に基づいた「逃げる」という選択をすることで、新たな展開が生まれる様子が描かれています。
ストレスフルな環境や不当な状況から離れることで心身の健康を守り、次のチャンスに向けたリソースを温存することによって「逃げることは役に立つ」と考えることができます。
その背景とその先をどう生きるかをよく見つめて、より良い未来や安心を得るための手段として…