・・・・(ナカテン・中黒)

 カメハメハは「カ・メハメハ」
 張本人は「張・本人」
 ドンキホーテは「ドンキ・ホーテ」でもなく「ドン・キホーテ」

 このような言葉を発音するときの「・」の位置を誤って認識したうえで発音されたり、そもそも無視したりされることがあるのはどうしてなのかと指摘する話題を耳にしました。

目次

認識する必要無し

 「・」はナカテンもしくは中黒(なかぐろ)とも言います。

☆文化庁 報告・答申・建議等「新しい公用文作成の要領に向けて(報告)令和3年3月13日」PDFファイル19ページ https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/

 主に単語の区切りを示すために使われるものの発音する上では特別な音を持たない記号なので、それ自体が発音されることはありません。

 そのため話す人は音として認識する必要がなく、自然と無視してしまう傾向があります。

もう無視無視♬

ふんふんふんふんふん

 言葉にはアクセントや音の長短によってリズムが作られる性質があります。

 「カ・メハメハ」のようにナカテンで区切られた部分も全体として一つのまとまりとして捉えられ、リズムに乗せて発音されることがあります。

 その際、ナカテンの位置で一呼吸置くような発音になると、かえって不自然に聞こえてしまいます。

 たとえ中黒の位置が曖昧に発音されたとしても「カメハメハ」「張本人」「ドンキホーテ」といった言葉の意味は十分に伝わるため、正確な位置で発音することへの意識が薄いという側面もあるかもしれません。

 特に複数の単語や外来語が組み合わさったような言葉の場合、元の言語の発音やリズム感が影響してナカテンの位置が曖昧になりやすいのかもしれません。

悪だくみを企んだ張本人

 「張本(ちょうほん)」はもともとは後に起こる事柄のために伏線を張っておくという意味合いがありましたが、現在では特に事件や騒動などを引き起こした中心人物や首謀者という意味で使われています。

 ですからこの「張本」という言葉は一つの熟語であって、特定の人物やものを指しているわけではないと理解するのが適切です。

 張本人(ちょうほんにん)の「張(ちょう)」は、単に音を当てたもので、特に何かの「張」というものを指しているわけではありません。

ドンキホーテ

 「ドン・キホーテ」はスペイン語の “Don Quijote” が由来であり、スペインの小説家であるセルバンテスが作った小説のタイトルおよび主人公の名前です。

 発音する際には元のリズムを引き継ぎつつも日本語の音韻体系に合わせて発音されるために、ここでもナカテンは意識されにくいのかもしれません。

 人が言葉を略す傾向はさておき、「ドン」とか「キホーテ」と略すよりも「ドン+キ」までは一息で言ってしまったほうが語呂が良くて言いやすいのです。

マクドナルドは最たるもの

 マクドナルドは「マック(+ドナルド)」や「マクド(+ナルド)」と略されるどころか、どちらにおいてもナカテンの表記なんて見たことがありません。

 英語表記は「McDonald’s」。2文字目の「c」と次の「D」に空白が無いからでしょうか?

 ナカテンは表記上の区切りとして重要であるとしても、発音においては必ずしも意識されない少し特殊な存在と言えるかもしれませんね。

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