「ハモリ」とは楽曲において和声を作るために、メロディの上や下に同時に異なる音を重ねる技法を言います。
メロディに相対するバックコーラスやハーモニーとしてのハモリを上手に取り入れることで、曲の深みや感情が増していくのです。
曲の深みや感情の演出
長年吹奏楽などの場面で楽器を演奏してきました。
なんかその道のプロかのような言い方ですが、私も「ミュージシャン」の端くれには違いありません。
正式なコンクールの場では50人以上も集まって演奏することもあります。
だからといって同じ楽器が何十人も集まるわけではなく、トランペットやクラリネットなど様々な種類の楽器が出揃います。
そうすると楽器の特性や演奏者の技量、楽曲としての特色に見合ったバランスを意識しなければ、聴く人の心に響かせるような演奏はできません。
そこでもし「うまく演奏する自信がないから」と控えめになったり「ここは簡単で自信があるから力一杯に」という演奏をしてしまうと、他の演奏者とのバランスが保てません。
曲の深みや感情とは程遠い、一人一人の腕自慢になってしまいます。
松下幸之助も応援
楽曲と楽器によっては「ここ一番の頑張りどころ」があります。それは「ソロ」と言う部分です。
「出る杭は打たれる」という慣用句に対して、松下幸之助は「出過ぎる杭は打たれない」とのメッセージを残しました。
演奏者たちの矢面に立つ指揮者は「出る杭」に対してはそれを打とうとしますが、ソロの演奏者に対しては「出過ぎる杭」であってほしいと願っています。
大惨事発生!
トロンボーンという楽器を始めて間もない宮坂さんは「ソロを演奏するように」と指揮者に申し渡されました。
みんなが控えめに演奏する中、聴衆の注目の的。周りに導かれるまま宮坂さんはたった一人で演奏します。
ここにハモリやバランスの概念は必要ありません。ただただ堂々と演奏しなければなりません。
もし宮坂さんが怖気付いて演奏に行き詰まってしまったら、曲全体もそこで止まってしまうかもしれません。これは大惨事です。
がんばれ、プロのミュージシャン
TBSテレビ「バナナサンド」で「ハモリ我慢ゲーム」というコーナーがあります。
ゲストがメロディを歌っている途中から、後ろにいるコーラス隊がハーモニーを目一杯に歌い込んできます。
それにつられないように最後まで歌い切れるかどうかのゲームですが、大抵のゲストはつられてしまいます。
歌唱力が「出過ぎる」ほどに高いはずのゲストがうまく歌えなくてガッカリしているところを見ると少しは楽しい気持ちにもなりますが、それでも「打たれ」ている姿が悲しげでいたたまれません。
プロも宮坂さんも負けないで!