小金持ちでも大切なこと(遺産分割協議と遺言)

 遺言と遺産分割協議はそれぞれを補完する関係にあると言えます。

 遺言は意思能力のある15歳以上の者であればいつでもできますし、分割協議も推定相続人が集まる場ならいつでも始められます。

 推定被相続人を含めて、全員が納得するまでとことん突き詰めていきましょう。

目次

みんな仲良くしてよ

 どちらの立場であっても、こういったことは誰にも起こり得ます。

  • 「どうせあいつらのことだから、遺産分割協議はもめるだろう」と見越して、被相続人が事前に遺言を作った。
  • 「お父さんはのんびり屋さんだから」と見越して、遺言を作らない推定被相続人の代わりに、推定相続人たちの中で遺産分割協議を行った。
  • 推定被相続人が頑張って作ってくれたけど遺言の内容が矛盾していたり曖昧だったりしていたので、推定相続人たちで先に遺産分割協議を行った。

 共同相続人は被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでもその協議で遺産の分割をすることができます。(民法第907条第1項)

 遺言と遺産分割協議のどちらかがしっかり出来上がっていれば、もう片方は考えなくてもいいのですから。

あの子に遺贈しちゃおっかな?

 被相続人は遺言の中で「宮坂さん(でなくても誰にでもできます)に遺贈する」などとしようと考えている場合もあります。

 だとしたらこの場合、気持ち悪いでしょうけど推定相続人たちには黙っておきたいでしょうね。

 遺言において定められる相続と遺贈の違いはそれほど多くありません。

 かつては例えば相続財産の登記申請を単独で行えるか、法定相続人との共同でないとできないかという違いがありました。

 現在は借地権や借家権を引き継ぐ際の賃貸人の承諾が、遺贈の場合には必要です。
遺贈とは?相続との違いや注意点について解説|税理士法人チェスター

家族で喧嘩させないように

 相続財産を認定非営利活動法人(認定NPO法人)へ遺贈(寄附)した場合は、相続税の課税の対象になりません。

 生前であってもほとんどの金額で所得税の税額控除が受けられるわけですから、寄附を奨励する点では所得税と同じ考え方です。

 国税庁タックスアンサーNo.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき|国税庁

 遺贈とその手続きの流れ – 遺産寄付ナビ | 日本ユニセフ協会 | 遺産のご寄付

 喧嘩ばかりだった最中で残された相続人たちは、情けない気持ちでいっぱいです。

自分で書いておきながら

 遺言と一緒に「手紙」や「付言」が作られることがあるようです。

 もしお母さんの遺言の中に近所付き合いのことやお墓のことに加えて「私の子供として生まれてきてありがとう」「いつまでも兄弟仲良くね」なんて書かれていたら、喧嘩なんてできなくなってしまいませんか?

 他人事でも私は今、涙が出ています。

 先に旅立つであろう立場の方にできることは、法律や税金のことよりも家族の幸せを一番に考えてその道筋を作っていただくことかと思います。

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