2025年2月26日放送のNHK総合テレビ「クローズアップ現代」では、分娩の空白自治体が増えていることを取り上げました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250226/k10014725871000.html
夜7時からのニュースの後、引き続きチャンネルを変えずにいたら背筋が凍るほどの話題でした。
お産を担う施設が1つもない分べん空白市町村が広がっていると言います。
これがまさしく「はっきりと目に見える少子化の原因」であると感じたのです。
静岡県伊豆半島南部の南伊豆町にある唯一の産婦人科は長年続けてきた出産の取り扱いを休止し、この町内では助産を受けられなくなってしまいました。
理由は医療従事者の人手不足。
そこで南伊豆町に住む妊婦の宮坂さんは、車で1時間以上もかかる伊東市の産婦人科に検査を受けるために週1回通院していました。
ある日産婦人科の近郊にある勤務先に向かう途中で出産の兆候が見られたため急いで産婦人科に向かったものの、間に合わずに車内で胎児の体がほとんど妊婦から出てきてしまっていました。
当然、自家用車の中にはお産の準備は備えられていません。
偶然近くにあった消防署に駆け込んで、救急車で産婦人科に運ばれていきました。
産婦人科に着いてからは宮坂さんもお子さんも、母子共に無事だったようです。
産婦人科医が減っている

分娩を扱う産婦人科が減少していることは、いくつかの点で問題視されています。
産婦人科医の長時間労働や当直の負担が増加し医療訴訟のリスクも高いことから、産婦人科医を目指す人が減少しています。
これによりさらに産婦人科医不足が加速し、医療現場の疲弊が進むという悪循環が生じています。
産婦人科医の高齢化とともに若手医師の産婦人科離れが進んでおり、後継者不足が深刻化しています。
分娩は予測不能な事態が起こりやすく常に緊張感を強いられるため、精神的な負担も大きいでしょう。
医療機関も減少
分娩件数の減少や医療費の抑制などにより採算性が取れなくなるなど、産婦人科の経営が厳しくなっている医療機関が増えています。
産婦人科の維持が困難になれば、特に小規模な医療機関では閉鎖せざるを得ないケースも出てきています。
医療機関の不足により自宅から遠い病院での出産を余儀なくされる妊婦さんに対して、妊婦健診や出産時の移動の負担が増加してしまいます。
地域によっては出産できる病院がなくなってしまうケースへの対応として都市部への医師の集中が進めば、さらに地方の医師不足が顕著になっていきます。
妊婦さんの負担は増加

産婦人科医不足に対応するために医療機関の集約化が進められていますが、これにより妊婦さんの通院負担が増加する可能性があります。
自宅から遠い医療機関に通院せざるを得ない妊婦さんが増え、通院時間や交通費の負担が大きくなっています。
そうすると実家近くの医療機関で出産することが難しくなるため、慣れた環境での出産を望んでいた妊婦は里帰り出産を諦めてしまいます。
過疎化も兼ねた対策を

そして妊婦側にとっては、出産費用の無償化もしくは大幅な減額があると出産しやすくなるかもしれません。
産婦人科医を目指す若手医師を増やすための支援策を充実させる必要があります。
よって医師の働き方改革を進め、労働時間の短縮や当直体制の見直しが求められます。
この問題は地方の過疎化にもつながっていると言えます。
国・自治体・医療機関が連携して対策を進めることで、妊婦さんが安心して出産できる環境を守ってほしいと番組を見て思いました。