とあるOLさんからこんな話を聞く機会があり、そのOLさんは上司である宮坂さんのことについてこう言っていました。
・飲み物が残ったままのコップをゴミ箱に捨てる
・自分が座っていた椅子を直さない
・自分の脱いだ靴を机の上に置いている
「こんなに片付けられない上司には誰もついてこない」とOLさんは言い放ちます。
この後は、こんな宮坂さんたちをモデルとした「だらしないけど、なぜか魅力的な男性」が登場する恋愛小説です。
タイトルは「片付けられない恋」。
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悠真(ゆうま)は、だらしなくてズボラ。社内のデスクは散らかり放題、飲みかけのコップを平気でゴミ箱に捨て、椅子を戻すことすらしない。だけど、なぜか周囲の人間は彼を放っておけない。
そんな悠真を一番嫌っていたのが、同僚の理沙(りさ)。彼女は几帳面であり、職場では「頼れる社員」として尊敬されている。悠真とは真逆のタイプであるために、彼のだらしなさを見るたびにイライラしていた。


ある日、理沙が何気なく悠真の仕事を手伝うことになった時に彼の意外な才能に気づく。実は悠真は周囲を大いに惹きつけるプレゼン力を持っていて、不思議な魅力を感じていた。
「こんなにだらしないのに、どこに人を引きつける力が?」
「なんでこんな人にみんなついていくんだろう?」
と困惑しながらも、理沙も次第に悠真に惹かれていく。
悠真もまた理沙の几帳面さと正義感に少なからず刺激を受け、変わろうとしていた。
理沙は悠真に惹かれ始めていたものの、彼のだらしなさにはやっぱり耐えられない。
交際が始まってから少し経ったある日、理沙の部屋で一緒に映画を見ていたときのこと。悠真は飲みかけの缶コーヒーをテーブルに放置したまま、何食わぬ顔で帰ろうとした。

理沙は思わず声を荒げる。
「ねえ、なんでいつも片付けないの?人に迷惑かけてるって思わないの?」
「は?缶1つくらいでそんな怒るか?」
悠真は面倒くさそうに笑いながら問う。
その態度に理沙は堪えきれず、こう言い放った。
「そうやってずっと適当に生きてればいいじゃない!私みたいな几帳面な人間とは合わないよ!」
カッとなった悠真は「だったらもう会わなきゃいいだろ!」と吐き捨てて、乱暴にドアを閉めて部屋を出ていってしまった。
理沙はひとり部屋に残され、悔しさと寂しさで涙がこぼれた。

理沙は悠真からの連絡を無視し続けていた。
しかし数日前の仕事でトラブルが起きたとき、ふと悠真の言葉が脳裏に浮かぶ。
「理沙は全部完璧にやろうとしすぎだよ。もっと肩の力抜けよ。」
いつもズボラな悠真だけど、彼の言葉に救われた瞬間があったことを思い出す。
一方の悠真も、理沙と離れてから彼女の存在がどれだけ大きかったかを痛感していた。
「こんなにだらしない俺を好きになってくれた人なんて、もう現れないかもしれない…」と。
初めて真剣にそう思い、悠真は理沙にまた会いに行く決意をする。
理沙の家の前で、悠真は震える手でインターホンを押す。
ドアが開くと、理沙は驚いた顔をしたがすぐに冷たい視線を向けた。
「何しに来たの?」
悠真は無言で空のコンビニ袋を差し出した。

「ちゃんとゴミを持って帰りに来た。」
そう言って、ぎこちなく笑った。
悠真の言葉は不器用だったけど、真剣だった。
理沙も思わず吹き出し、少し意地悪そうに微笑んだ。
✨ 完 ✨
実は2人とも完璧主義だった
片付けられない原因は「完璧に片付けなければ」という思いが強すぎるからという意見もあります。
そのハードルを自分で高くしてしまって、結果的に手がつけられないということがあるそうです。
☆ダイヤモンドオンライン「片づけられない人の共通点」 https://diamond.jp/articles/-/276601
上司である宮坂さんとは、私もお話しする機会があります。
話を聞いていると、この宮坂さんも含めてきっと3人とも完璧主義者なのかもしれません。