朝日新聞「天声人語」で将棋タイトル戦での一場面が書かれていました。
昨年4月に行われたタイトル戦で将棋の谷川浩司名人が立会人を務めた際、その場にいた現役棋士である対局者2人と記録係1人の年齢の合計が自身の年齢と同じであることに衝撃を受けたとのこと。
そのコラムは、続いて老化と寿命の話題に移っていきます。
そこで寿命についての2つの新聞記事を比較します。
国に頼らずに自助で「人生70年時代」へ

金融庁は年金制度の限界を認めたうえで、国民に対して政府に頼らない「自助」を呼びかける内容の「人生70年プラン」をまとめました。
サラリーマンを続けてきた夫とその妻が定年退職後に無収入になった場合、家計収支は毎月5万円の赤字に。
退職金などの資産を取り崩しながらの生活が成り立たなくなるであろう70代に人生を終えることができるというプラン。
そのためには現役の間に心身に及ぼす慢性的なストレスを確保し、また定年後の高齢期においてもできるだけ劣悪な環境に身を置くというものとされています。
☆2019年5月24日付け虚構新聞「自助で寿命取り崩しを」 https://kyoko-np.net/2019052401.html(あくまで虚構です)
iPS細胞で健康寿命をのばす
京都大学教授の山中伸弥さんは老化と寿命について「いま生まれる子どもが百歳まで生きる可能性はかなり高い」と言います。
アメリカ企業の上級科学アドバイザーとしてのiPS細胞の技術を用いた老化研究によると、医療や介護に頼らない健康寿命も延びていくと。
老化に抗うことはできなくても、病気やケガをしなければ健康的に生きていけます。
そうなればこれまでのように「学生→社会人→定年」というサイクルだけではなく、高齢になってからもその後のサイクルが求められていきます。
これを達成するためには医学研究の進歩と共に、人生に対する考え方も変えなければなりません。
☆2025年2月4日付け朝日新聞「天声人語」 https://digital.asahi.com/articles/DA3S16141919.html?iref=pc_shimenDigest_top02
高齢になってからのサイクル

飲酒は適量に留め、休肝日を設けましょう。
喫煙をすると多くの疾患リスクを高めます。
口の中の健康を保つことも全身の健康に寄与します。定期的な歯科検診や適切な口腔ケアを心がけましょう。
定期的な予防接種や健康診断で疾患の予防や早期発見ができます。
蓄積されてしまったストレスは、適度な休養や趣味の活動などで適切に解消させてください。
孤立を避け、家族・友人・地域社会とのつながりで積極的にコミュニケーションを図りましょう。
そして節度ある食事・運動・睡眠こそが一番効果的で、なおかつ副作用の心配がありません。
これらの習慣を日常生活に取り入れることで、健康寿命を延ばすことができます。
寂しい考え方にはならないで
上の両極端な2つの記事を見比べると、この記事を読む個人によってはどちらもフェイクニュースとは言えないと考える人もいるのではという気持ちになります。
私がこう思うのはきっと、平均寿命が70と100の間の80歳代だからかと。
もし80歳代で死んでしまうことが決まっていたら、健康寿命はもしかしたら70歳代でしょう。
しかし幸いなことに「人生70年プラン」の記事は「健康寿命」のコラムよりも4年以上も前の記事です。
そして2019年現在、健康寿命でさえ70歳を超えています。
4年前の「人生70年プラン」を払拭できるような今回のコラムであって欲しいと思います。
☆日本FP協会「人生100年の家計戦略」 https://www.jafp.or.jp