夢を抱いて事業を大きくしていこうとする一個人が念願の社長となるべく、法人(会社)を設立します。
しかしそれは本人が成長するのではなく、新しい「人」を生み出してそれを大きくすることなのです。
納得はしているけどやっぱり聞いて欲しい
個人と法人の区別がつかなくなっているケースを何度も見ることがありました。
ある日、宮坂さん(仮名)という方がやってきてこう言うのです。
「これだけ売り上げが上がっているのに俺の懐には一銭も入ってこない」
「会社には税金がかからないのに、どうして俺には税金がかかるんだ?」
こんな文章を自分で書いておきながら、その私でも何言っているんだかわかりません。
でも、そんな納税者の方がいたのです。
直に言われた瞬間にはすぐに理解や返答ができませんでしたので、返す言葉が思いつくまではふむふむ聴き続けるしかありません。
吐き出させればスッキリしてもらえるという期待も込めながら。
これこそ「傾聴」の精神です。
表の顔と裏のアカ
法人を設立しなくても同じような区別は必要で、自分を「事業主」と「ただの人」の別人に分けて考えなければなりません。
自分でお店を出したり誰かの仕事を引き受けたりすれば、その時の収入はおおよそ「事業主」としての収入です。
逆に経費がかかったならば、それは「事業主」が払ったことになります。
一方で自分のための食事や趣味にかけた費用は、別人である「ただの人」がお金を使ったと考えなければなりません。
たまには甘えていいんだよ
事業者が親離れをするためには、まず財布や預金口座を2つずつにしていなければなりません。
生活資金を分離させて手元のお金を事業資金だけにしているという前提で、「事業主借(かり)」と「事業者貸(かし)」という2つの科目が考えられています。
まるで親の仕送りから自立するかのように。
法人を設立するとすれば、資金を個人と法人に分けることとも同じです。
ここで誰にでもはっきりわかるように区別ができるようになれば、生活資金以上の余裕を残した上で事業主側に資金を移します。
しかし帳簿上ではきちんと区別ができてあっても、実際に事業が始まっていたのに区別をし忘れることもあるでしょう。
そんな時には、事業資金の実際の動き(現金が増えたとか減ったとか)に合わせて「事業主借(事業主が借りました)」や「事業主貸(事業主が貸しました)」という科目も計上しておきます。
その科目は現金や売上・経費などと一緒に、決算書で年が明けてから集計します。
まだできてないかも?
ここまで簿記や仕訳のところにまで踏み込みませんでした。
以前の自分を親と見立て、その親から自立したのが「事業主」であるという考え方で留めています。
簿記の観点も含めた的確な内容で、弥生さんやマネーフォワードさんなど会計ソフトの各メーカーがサイトでまとめてくれています。
私自身も親離れがちゃんとできているか確認のためも含めて、皆さんもぜひご覧ください。
弥生会計「確定申告お役立ち情報」 https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/jigyonushikashi-jigyonushikari/
マネーフォワード「確定申告の基礎知識」 https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/19431/