「配当所得」と「配当控除」
所得税確定申告の説明の中でこの2つの言葉がもし並べて書かれていたら「配当金を計算してそれを控除する」という意味かなんて思いませんか? それなら計算しなきゃいいのに、面倒くさい。
でも各出版社の参考書や「確定申告の手引き001.pdf (nta.go.jp)」を見ても、並べて書かれていることはありません。
ちなみに、上に貼ったリンクは参考に見るだけにしてくださいね。国税庁は「手引き」が必要ない「確定申告書作成コーナー」での作成を推奨しています。
令和6年分は令和6年10月現在まだ公開されていません。年が明けてからの公開です。
配当所得
主な対象は会社からの剰余金や利益の配当です。
所得税が源泉徴収される前の配当金の収入金額から、取得するために借り入れた負債の利子の金額を差し引いたものが「配当所得」の金額です。
配当控除
上に書いた配当所得以外の所得(例えば給与所得や事業所得)があっても、配当所得と合算して算出された税額から減額できます。
配当所得の金額そのまま控除ができたらうれしいですが、控除できるのは配当所得の金額の5%もしくは10%だけです。
さすがに収入の100%控除というわけにはいきませんし、配当所得の対象が全て控除の対象ではありません。
もし剰余金や利益の配当であれば、配当所得と配当控除のどちらも対象です。
利益をたくさん出しましょう
配当控除の制度がある理由は、法人税と所得税の二重課税への負担調整を行うためです。
法人が支払う配当金は並々ならぬ利益が財源です。しかし仮に配当をしなかったとしても、その利益には法人税が課税されます。
そして受け取る側にも配当所得としての所得税が課税されます。
同じ1件の配当金なのに支払う側で法人税が課税されて、受け取る側でさらに所得税として課税されるのです。
そこで配当金を受け取る側に対しての所得税において「配当控除」という制度を作ることで、一定の配慮がされていると考えられています。
ちょっとは悪いと思っていますよ
二重課税への対応のために作られた「配当控除」。
その配当控除の対象は、配当所得以外の所得にかかる税額も含めての控除をするためでした。
「2回もピンハネしてごめんなさい」「5~10%くらい返すから許してね」
というお話でした。