夏の夜といえば浴衣を着て屋台をぶらつき、そして夜空に咲き誇る大輪の花火を眺める…
そんな光景を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
私たち日本人にとって花火大会は特別な楽しみの一つです。
気象条件の安定
なぜ花火大会は夏の時期に集中して開催されるのでしょうか?
夏の時期は天候が安定し、花火の打ち上げに適した気象条件となる日が多いと言われてきました。
もし強風が吹いていると花火の火の粉が広範囲に飛び散る危険性が高まりますが、穏やかな風の日であれば花火の煙が広がらずに美しい花火の形をしっかりと見ることができます。
このように安定した気象条件は、花火大会を安全かつ綺麗な状態で楽しむために重要な要素です。
夏のレジャーとして

夏休みやお盆休みなど人々が長期の休暇を取りやすい時期であることも、花火大会が夏に集中していった理由の一つです。
夏は旅行シーズンでもあり、各地の花火大会は観光客を呼び込む大きな魅力となります。
開放的な雰囲気の中で家族や友人とともに花火を見るのは、特別な夏の思い出として人々の心に深く刻まれます。
夏のレジャーシーズンと花火大会を結びつけることで、地域経済の活性化にも繋がっていると考えられます。
いつもの花火大会が10月開催に
例年7月に開催され夏の夜を華やかに彩ってきた北九州市若松区の「くきのうみ花火の祭典」ですが、今年は秋の10月に開催されることが発表されました。
「どうして夏の風物詩である花火大会が秋に?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
花火を鮮やかに見せるためには、澄んだ夜空が不可欠です。
近年の夏の時期は局地的な大雨や台風など、荒れた天候に見舞われることが多くなりました。
花火大会は屋外での開催となるため悪天候は安全な運営の大きな障壁となり、直前の延期や中止を余儀なくされるケースも少なくありません。
10月は比較的晴天の日が多く、台風の発生も少なくなる傾向があります。
気象条件が安定していれば予定通りの開催への期待が高まります。
このように、荒天候による影響を避けることが開催時期変更の大きな理由の一つと考えられます。
秋の花火大会ならではの魅力

夏のイメージが強かった花火大会ですが、秋に開催されることによってまた違った魅力が生まれることが期待できます。
秋の澄んだ空気の中なら、花火の光がより鮮やかに美しくクリアに夜空に映し出されるでしょう。
夏の蒸し暑さから解放され、涼しく過ごしやすい気候の中でゆっくりと花火を鑑賞することができます。
打ち上げ花火の習慣は、夏場に発生して農作物を荒らす害虫を駆除する目的であったとの説も見受けられます。
しかしこれまで同様夏の開催を続けていたら、害虫を駆除しようとしてきた我々ミイラ取りがミイラになってしまうかもしれません。
秋の夜空を彩る花火大会がどのような新しい感動を与えてくれるのか、今から楽しみです。