先日19日付けの朝日新聞朝刊コラム「天声人語」は、認知症患者の行方不明についてでした。https://digital.asahi.com/articles/DA3S16152609.html?iref=pc_rensai_long_61_article
朝目覚めたらすでに

鳥取県米子市に住む現在66歳の荒川勉さんは、当時若年性の認知症を患っていた59歳の妻の帰りを2年間待ち続けています。
介護の仕方を間違えていたのか?
行方不明の通報が遅かったのか?
「油断していました」「彼女にすまない」「こんな別れ方はしたくない」と荒川さんは言っています。
それは妻が作りたての朝食を残したまま外出し、戻って来なくなってしまったからなのです。
いつの間にいなくなるなんて
家族が一緒にいる時間はなんと尊いものなのでしょう。
おそらく長い時間をともに暮らしてきたのでしょうから、なおさら身に沁みていらっしゃると思います。
認知症の行方不明者は年々増えています。
大半は保護されているものの、一昨年は502人が亡くなり250人が見つからなかったと言われるこの悲しい現実は自分の身に置いてみても胸が苦しくなります。
とてもきれいな夕日に見惚れて

宮坂さんの生きざまを2つ。
1つ目は小学2年生か3年生だった頃の宮坂少年です。
友達とのボール遊びが楽しくて楽しくて、おうちに帰る門限を守れませんでした。
その結果、少年は家に入れてもらえません。
どれだけ大声を出してもダメだったので、もう家には帰らず遠くに行ってしまおうと考えました。
しかし結局は遠くへ行く度胸はなく、2時間くらい近くの公園の陰にいただけで終わったそうです。
2つ目は4〜5歳の頃。
お母さんたちが近所の人たちと立ち話をしている間に、1人でどこかに行ってしまったとのこと。
なかなか見つけられなかったためお母さんは警察に相談。
懸命な捜索の末、少年は保護されたとのこと。
現在の宮坂さんは何の記憶も無いそうです。
生きてさえいてくれれば
認知症患者が外出したまま行方不明になる事件については、北九州市であれば「認知症サポーターメール配信システム」というもので随時知ることができます。
対象者は60歳代でも70歳代でもほかの年代でも。
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/17300014.html
そして時をさかのぼると、北朝鮮の工作員によって拉致されたとされる一連の事件。
最近行方不明者の親御さんのお一人が亡くなり、親世代は横田早紀江さんだけになったというニュースがありました。
先週末、米子市の荒川さんの妻は61歳の誕生日を迎えたそうです。
「元気かなあ。どこかで、生きていてくれさえすれば……」と。