福岡県北九州市に「資さんうどん」といううどん店があります。
市内を中心にいくつもの店舗があるので、よく名前が知られているところです。
私も何度も行ったことがあります。
そこでうどんとともに必ず注文するのが「ぼたもち」です。
地域に限らず他のチェーン店では見かけたことはない、まさに稀有な存在。
そして私の周りでも注文しているお客さんはいません。
それでも私は相性はいいと思っています。
☆資さんうどん「おしながき」 https://www.sukesanudon.com/menu/menu4/
どちらも小豆が原料

いその家も家族みんなで作る、あのぼたもちとおはぎはどちらも炊いたもち米を丸めたものに小豆で作ったあんこをつけて作られる同じお菓子です。
古くから日本では、赤い色は魔よけの効果があると信じられています。
赤色の小豆を使ったぼたもちやおはぎは、邪気を払う食べ物として先祖の供養のために食べられてきたとされてきました。
それぞれの花が由来
この後の由来には違いがあります。
萩(はぎ)は少し早まる場合もあるようですが本格的には秋に咲くところから、秋のお彼岸やお盆に食べるものを「おはぎ」と呼ぶようになりました。
小豆の散らばった姿が萩の花が散った様子に似ているところから採った「萩の餅」が由来とされています。

一方「ぼたもち」は牡丹(ぼたん)の花からその名がつけられました。
昔は小豆が高級品だったため、おはぎが食べられるのは年に数回だけでした。
よっておもてなしのご馳走としておはぎよりも大きな餅で作るようになり、その形を大きく華やかな牡丹の花に例えてきました。
牡丹が咲くのは春なので、春のお彼岸に食べるものを「ぼたもち」と呼ぶようになっていったのです。

食べるタイミングや由来に季節感が反映されているので、季節の違いが大きな要因だと言えるでしょう。
まさか、どんぶりにぼたもちを入れるとでも?

伝統的な日本の食文化においてぼたもちやおはぎという和菓子は、甘みが大きな特徴です。
その一方うどんは、だしの効いた塩味や醤油味が主体の料理です。
味の基本的な方向性は異なるため、一般的には組み合わせとして定着してはいません。
しかし、個人的な試みや創作思考次第では面白い組み合わせに感じることができると考えます。
糖分不足にはおぐらあん
甘味と塩味の対比を楽しむ試みは、私に負けじと宮坂さんもお好みのようで。
宮坂さんはお気に入りのコメダ珈琲店でモーニングメニューを注文するときには「ゆで玉子」と「おぐらあん」を選びます。(片方を追加するのです)
☆コメダ珈琲店「メニュー」 https://www.komeda.co.jp/menu/morning_komeda.html
皆さんの中にはゆで玉子には塩をかける方が多いですよね。
その塩が小皿に残ってしまったときはおぐらあんの小皿へ。
塩をかけた途端におぐらあんが急激に塩辛くなるわけは当然なく、そして糖分が増えるわけでもありません。
配合割合でおぐらあんの方が圧倒的に大きければ、甘味はかえって強く感じるのです。(逆に大量の塩の中に少量のあんこをのせるなんて組み合わせは、私でもさすがに考えたことはありません)
これはスイカやトマトにおいても聞かれたことはあると思います。
このように試してみると、他の場面でも思いがけない美味しさを発見できるでしょう。