いつも真剣に取り組み、重要な仕事をやり遂げる宮坂さん。
そんなつもりはまったくないのに、もし宮坂さんが他人を怒らせてしまうことがあるとしたら、それはもしかするとその原因は「アスペルガー症候群」にあるかもしれません。
アスペルガー症候群にまつわる問題行動の一つ「他人をつい怒らせてしまうこと」はなぜ起こってしまうのでしょうか。
この症候群の長所
まず、この症候群には長所があります。
- 周囲に関係なく自由な発想ができる
- 単純作業などを嫌がらずにやり続ける
- 周囲の感情に惑わされない
- 率直に話せる独特の言い回しなどが面白い
- 規則正しく生活できる
- 記憶力が高い
- 決められた手順や一度決めたルールなどを守る
短所(症状)もあります
しかし、悪気がないのに他人を怒らせてしまうことが多いのです。
怒らせる原因がわかるのならば、何らかの対応のしようがあるものです。
それがあまりに頻発するようであれば、怒らせてしまう方が何らかの問題を抱えている可能性もあります。
その原因として一つ考えられるのが、アスペルガー症候群という障害の可能性です。
その人に以下のようなことがあてはまるようなら、アスペルガー症候群の悪い症状があると言えます。
- 言葉の使い方で不機嫌にさせた
- どこかに行くなどの誘いを特段の理由もなく断り、その後誘ってもらえなくなってしまった
- 一緒に遊んでいたのに他に興味が移って抜け出した
- 社会で常識とされるようなことや暗黙のルールといったものに無頓着
- 間違っていても謝らない
- 周囲に配慮しながら行動することができない
- 相手に興味があるかないかに関わらず相手の話はまったく聞かない
- 休憩時間と勉強時間などの切り替えができない
- 突然のスケジュールの変更やルールの中止を嫌がる
- 次にどんなことが起きるかといった想像力を働かせられない
- 仲間と一緒に何かをやるといった場面で他人の言うことは聞かない
- 他人の誤りを許さない
対策は治療ではなく症状の活用
他人を怒らせることで、最も辛い想いをするのはご本人です。
そしてその原因が障害である場合、適切な対応が必要となります。
本人が努力していても根本的に治療できるようなものではないため、かえって問題をこじらせる可能性があったり他の精神障害などを引き起こすことがあったりするからです。
アスペルガー症候群は、他人への配慮不足や礼儀をわきまえないといった対人関係の特性や自分の好きなことを一方的に話すというようなコミュニケーションの特性などが特徴です。
しかしそういった障害のある方はそういった障害への不安を抱えている一方で、それを強みにして活躍されている方も多数いらっしゃいます。
支援の中心になるのは、将来どのように障害と付き合っていけるようになるかです。
ルールは誰にとっても必要
ルールにこだわるという特性を生かして「こういうときはこうする」「これはこういう意味である」というように、対応するルールや基準を作ることが有効です。
この程度のルールは健常者でとっても必要なことだと思います。
みんなが守っているところを見れば、安心して協調できるようになれるでしょうから。