アパートよりもマンションに住みたいな

 高校を卒業して一人暮らしを始めて以来、様々なフリーペーパーを見比べたり不動産屋さんの窓に貼り出されている広告をじっと眺めていた覚えが何度かあります。

 当然、スマホで一発検索なんて無かった頃の話です。

 そんな賃貸住宅の広告を見ていると、種別が「アパート」「マンション」「貸家」「事務所」というようにいくつかに分かれています。

 一人暮らしで貸家や事務所を選んではいけないことはわかっていましたが、「アパート」と「マンション」を見比べたときにはどっちにすればいいのだろうと散々悩んだものです。

 きっと2つの違いは見た目と家賃の差だろうと私は思っていたので、お金に余裕ができてからは見栄を張って「マンション」を選ぶようになっていました。

☆株式会社ラルズネット「不動産投資連合隊」学習コラム https://www.rals.co.jp/invest/column/purchase/number-of-rooms/

目次

建物の所有形態の違い

みんなが通るところですから

 「アパート」と「マンション」という言葉は、どちらも複数の世帯や個人が居住する集合住宅の意味があります。

 アパートは基本的に1人の大家が建物を一括して所有し各部屋を各人に貸す賃貸集合住宅であることに対して、マンションは一棟に複数ある部屋をそれぞれの部屋単位で各人が分割所有する分譲集合住宅です。

 マンションはそれぞれの部屋ごとに所有者がいるわけですから、所有者全員が廊下やエントランスなどの共有部分を共同で管理する必要があります。

歴史から見る違い

上野同潤会アパート

 明治43年(1910年)に東京の上野に日本で最初のアパート「上野倶楽部」が造られてから、アパートという言葉が使われ始めました。

 大正時代に入って関東大震災で多くの住宅が失われた際に、住宅不足を解消するために設立された「同潤会」という財団法人が電気ガス水道の設備に加えて水洗トイレを採用するという当時最先端のアパートを次々と建設。

 第二次世界大戦後に再び住宅不足になった際は、日本住宅公団(現在のUR都市機構)が大規模かつ多数の集合住宅団地を建設していきます。

 こうした流れをきっかけに、集合住宅の新しい仕組みとしてのマンションが続々と作られていきました。

法律上の定義

 昭和37年(1962年)に制定された区分所有法と平成12年(2000年)のマンション管理適正化法により、マンションの定義が「1棟に2人以上の所有者がいる分譲集合住宅」とされました。

 よって、これ以外の集合住宅はアパートとされます。

 ただし建物の名称に関してはアパートを「▲▲マンション」とし、マンションを「●●アパート」と表記しても下記法律での制限はありません。

☆建物の区分所有等に関する法律第1条(建物の区分所有)
 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
☆マンションの管理の適正化の推進化関する法律第2条(定義)一号イ
 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設

借りるのがアパート、買うのはマンション

 賃貸を目的とした集合住宅が「アパート」であり、購入して住む集合住宅が「マンション」と理解しても大きな間違いではないでしょう。

 しかし最近では、この区分は曖昧になりつつあります。

 例えば分譲マンションを賃貸に出しているケースもあるため、一概には言い切れません。

 宮坂さんは以前「マンション▲▲」という名前の賃貸アパートに住んでいました。

 きっと宮坂さんも見栄を張って「マンション」という文字に目が行ってしまったのでしょう。

☆NHKテレビ「阿佐ヶ谷アパートメント」 https://www.nhk.jp/p/ts/BM338X5G3Y/

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