AIが進化し様々なところで活用されているというニュースが報じられることは、もう珍しくなくなりました。
そんな中で宮坂さんが部屋の片付けをしていると、何年か前の新聞記事の切り抜きが出てきました。
これは2018年8月14日付の朝日新聞の文化・文芸欄の記事で、Artificial Intelligence(人工知能・AI)とBasic Income(無条件での最低生活保障制度・BI)を包括して取り上げています。
ちなみにネット上でこの記事は確認できません。
「働かざる者」とはもともと不労地主や資本家のこと

ソビエト連邦(現在のロシア連邦ほか各国)の指導者レーニンが不労地主や資本家に皮肉を込めて発言したことから世間に広く浸透してきた「働かざる者食うべからず」という言葉が表すように、人間社会は労働に高い価値を置いています。
☆幻冬舎ゴールドオンライン「働かざる者、食うべからず」の“ほんとうの意味” https://gentosha-go.com/articles/-/61331
しかし、もう遠くないと言える2030年以降にAIによって大半の人間の仕事が奪われるとの説があります。この時代にどう生きていけばいいのでしょうか。
「勤労道徳の呪縛から逃れてもっと自由な社会を目指すべき」と主張する、経済学者で駒沢大学経済学部准教授の井上智洋さんは上記新聞記事の中で以下のように説いています。
井上智洋(いのうえともひろ)
1975年生まれ
著書に『AI時代の新・ベーシックインカム論』など
人間の仕事が消えていく

古代ギリシャの市民は政治・数学・哲学に重きを置き、労働は奴隷がするもので忌むべきものでした。
近い将来にかつての奴隷の仕事がAIロボットにとってかわられ、古代ギリシャのような世界になるかもしれません。
その結果、仕事をして十分な所得が得られるのは1割くらいに。
労働以外のことにしか生きる意味や価値を見出せなくなる残り9割の人の生き方も肯定していかないと、その市民は生活が立ち行かなくなります。
労働以外の価値を肯定
みんなが資本家になるべきと考える、社会にしみついた「働かざる者」の価値観はこれからも続いていくのでしょうか。
古代ギリシャの時代から近代になり、労働の価値が高められました。
国民に労働をさせて国力を高めることが国際競争の中で必要と考えられ、特に日本では憲法に労働の義務が規定されました。
それくらいこの日本では労働に重みがありますが、労働が人間の本質ではありません。
そんな社会にふさわしいのが、全ての人に最低限の生活費を無条件で一律給付するベーシックインカム(BI)だと考えられます。
毎晩酒盛りしてよっかな

新聞記事の2018年から7年が経ちました。想定されている2030年はあと5年です。
AIによる仕事への影響は様々な分野で現実のものとなりつつあります。
特に単純作業やデータ入力といった業務は自動化が進んでいます。会計税務ソフトもそのひとつです。
「働かないことへの嫌悪感をむき出しにした言葉は、生き方を押し付けている」
「遊んで暮らすのも結構だよというくらいゆるい社会にならないと、今でさえ生きづらさを感じている人はますます生きづらくなってしまう」
「今働けている人は、たまたま労働意欲や能力に恵まれてラッキーだった」
これも井上智洋さんの考えです。
最初に挙げた7年前の新聞記事は現実になりつつあります。
副業やボランティア活動や趣味などに時間を使う人が増え、働き方や生き方の多様性が認められるようになってきました。
AI技術の進展や社会の変化に伴って、働き方や社会のあり方は2030年を待たずにさらに大きく変わるかもしれません。