もっと身近に遺言を

 正しく遺言書が作られていれば遺産分割協議をしなくてもいいので、相続手続きが容易になります。

 もし表現に矛盾があったり曖昧であったりすると、遺言者の遺志が伝わりません。

 それが相続人同士の不信につながってしまいます。

 遺言には3種類あります。

目次

自筆証書遺言

 財産目録には署名押印が必要です。本文は署名押印を含めて全ての文言を手書きで作成します。

 完成したら法務局に保管を依頼します。

法務省民事局作成「遺言書保管申請ガイドブック」 https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/guidebook_r3.pdf

 原則では家庭裁判所で検認を受けておくこととなっていますが、その場合は相続人全員の戸籍事項証明書(謄本)も併せて必要です。

 しかも、申し込みから裁判所の審査完了まで1ヶ月ほどかかります。

 相続発生後は戸籍事項証明書が必要になりますが、遺言作成時では不要です。

 その点では法務局の制度を利用する方がラクです。

公正証書遺言

 自身で文書を作るのではなく公証人が筆記作成します。

 依頼する側からしたら、実際はメモぐらいは用意することになるでしょうけど。

 この遺言でも相続人全員の戸籍事項証明書が必要です。

 全員の戸籍事項証明書は必ずしも1ヶ所で同時に取得できるとは限りません。

 相続人がもし各地で戸籍を作ってあれば、その各市区町村の役所役場に交付申請をしなければなりません。

 本籍地が点々とされていれば、その都度被相続人との関係がわかるまで追いかけていくことになります。

秘密証書遺言

 署名押印は必要ですが、本文および財産目録はパソコンや代筆でも作成可能です。

 相続人・公証人・証人などに内容がわからないよう、本人が封筒に入れた状態で持参し公証人と証人が封筒に署名します。

 原本は遺言者が持ち帰り、公証役場には存在記録だけが残ります。もし中身に不備があっても相続発生まで誰にもわかりません。

 相続発生後に家庭裁判所での検認がありますので、日数が経ってから効力が発生しないものと判断されることもあり得ます。

交付申請書と返信用封筒で日本一周旅行

 仕事で相続人を追いかけないといけないことがあって、そうすると私の作った交付申請書が全国各地に拡散していくのです。

 しかし本籍地や兄弟・姉妹・養子がいないかを上の世代(尊属)を通じて追いかけることになるわけですから、一斉に送付というわけにいきません。

 兄弟が大勢いる方だったので、その時は相続人の家系図が出来上がるまでに数ヶ月かかりました。

 いつか言ったような気がしますが、被相続人を含めた中での遺産分割協議ができれば一番いいですよね。

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