大航海時代から500年

 世界の大陸は四角や円形ではありません。大きく出っ張っていたり引っ込んでいたりしています。

 先んじて世界中の航海を始めていたヨーロッパ諸国は、南米大陸やアフリカ大陸の向こう側に渡るためにと大陸の南端まで相当な遠回りを強いられてきました。

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なんとかして近道させてください

 この遠回りを解消するためにと1869年地中海と紅海を結ぶスエズ運河が開通。

 1914年には北米大陸と南米大陸の間にパナマ運河が開通しました。

 これを含む世界各地には、重要な国際航路を結ぶための「チョーク(choke)ポイント」があります。chokeとは「塞ぐ」「絞める」という意味です。

 人工の運河だけでなく、もともと存在している「海峡」も含まれます。

 ヨーロッパには「ジブラルタル海峡」と「ボスポラス海峡」の2ヶ所。

 そしてアラビア半島周辺には「スエズ運河」の他に「バブ・エル・マンデブ海峡」と「ホルムズ海峡」の3ヶ所が重要な地点とされています。

原油の販売価格が上昇

 アラビア半島のイエメン共和国とアフリカ大陸にあるジブチ共和国及びエリトリアとの間にある紅海の「バブ・エル・マンデブ海峡」では昨年から緊張が続いています。

 この海峡は以前から海峡周辺国は情勢が不安定であるために、世界の各国が安全確保のために拠点をおいています。

 ガザ地区の紛争から波及して、イランとつながるイエメンの反政府組織がイスラエルの商船を攻撃しました。

 情勢の緊張が深まると海峡の通過が困難になります。そして世界中の物流にも影響が出てくるのです。

 チョークポイントがどれだけ重要な拠点なのかがよくわかります。

 英石油大手BP、紅海でのタンカー運航を一時停止へ フーシ派の攻撃続く中 – BBCニュース

小さいチョークなら日本にも

 テレビではあまり放送していない道路交通情報。ラジオでは以前から高速道路や一般道路で渋滞や通行止めの状況を教えてくれています。

 山口県下関市にある「カモンFM」というコミュニティラジオ局では、朝7時過ぎに関門海峡の潮流やそこを通過する船舶の渋滞情報を放送しています。

 カモンFM (c-fm.co.jp)

 関門海峡は本州の山口県下関市と福岡県北九州市の間にあり、九州の北端にあたります。

 特に大阪・東京などの本州南側と韓国との船舶の行き来には重要な近道です。気象状況によっては他ルートの悪天候を避けて通る船舶もあるでしょう。

 日本にとってはこの海峡もチョークポイントです。

見えない解決策

 人や情報は他の方法でも、一度に大量の「モノ」を運ぶためには船舶が重要です。

 悲しいかな、「どうか平和的な解決を」というありきたりな意見しか言えません。

 そうしないと、紛争の当事者かどうかに関わらずみんなが干上がってしまいます。

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