太古は暗闇を照らす火の燃料から始まり、ガソリンや軽油として物を動かすためにという用途とされてきた石油。
「石油」は地面の奥深くから採掘される「原油」から始まります。
ドロドロした黒いダイヤ
黒色で臭気が強く粘着性のある原油は、そのままでは燃料としては使えません。
そこで原油に種々の処理を加えて各種の石油製品を精製します。これを行う工場のことを製油所といいます。
石油製品は原油中に含有する各種の炭化水素がそれぞれ異なった沸点を持っている点を利用して、いくつかの成分を分離して作られます。
その成分によって作られたものに対して、国税では主なものとして「揮発油税」「石油ガス税」「航空機燃料税」という3つの税目が設けられています。
その区分は、水よりどれだけ軽いか「比重」の割合で決まっています。
ガソリン税の担当なんてしたことありません
揮発油税は乗用車に給油される際の「ガソリン税」とも呼ばれていて、よく消費税との二重課税ではないかと言われています。
現職の時に何度か納税者の方から言われたことがありまして、その時の返答はこのようにしていました。
「本来揮発油税を税務署へ申告及び納税をするのは、ガソリンの輸入製造会社A」
「そして消費税を税務署へ申告及び納税をするのは、給油をするガソリンスタンドB」
「給油を受けるドライバーのCさんは、両方の税目相当額の負担を引き受ける契約に基づいて売買(給油)取引をしている」と。
その輸入製造会社AがガソリンをガソリンスタンドBに移出する段階で揮発油税が課税されます。
ガソリンの販売価格を決める際は最初は輸入製造会社Aが決めるでしょうが、スタンド業者Bはこの段階で揮発油税相当額を含めてAから請求されることが想定されます。ガソリンの移出量によってAが納めるべき税額が増えるからです。
この揮発油税相当額を負担したスタンドBは、ガソリンを消費する消費者Cにも肩代わり負担をしてもらおうと考えます。
二重課税ではありません(キッパリ)
しかし取引金額をどう決めるかは当事者間の自由です。
ガソリンスタンドによって販売料金が違うのは、自らが負担した揮発油税相当額をどこまで消費者に迫るかと検討した結果。
法律を作る側から考えれば、二重課税だと言われることぐらい想像できそうなこと。
あくまで机上の話ですから、負担させられる消費者側の気持ちもわかります。
しかしあえて「二重課税では?」と尋ねられてしまったら「納税者が違うんです!」と言い返すしかありません。
価格の転嫁が行われる仕組みの間接税たる特性が、この揮発油税と消費税にも見えてきます。
石油ガス税
タクシーの燃料に使用されているのが石油ガスです。
実は一般乗用車が使っている普通のガソリンではないのですね。
これも水との比重によって課税物件に該当するかが判断されます。
タクシーにガスを充填したら課税です。
一般乗用車で使われているガソリンを採用していないのはなぜかと調べてみましたが、ガソリンとの違いは「燃費が悪いが税金も安い」「走行中のパワーは求められていない」「環境にやさしい」「スタンドは少ない」といろいろありました。
これからハイブリッド車や電気自動車が増えていけば、石油ガスはだんだん必要なくなるかもしれません。
航空機燃料税
これも比重の数値で区別がされますが、要は文字通りです。
旅客機もそうですが、新聞社や放送局のヘリコプターにも課税されます。
航空機の所有者が燃料を積み込んだら課税されます。
ここまでは税務大学校の「講本」を参考にしました。https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/kansetu/pdf/all.pdf
要は税率を上げるか下げるかです
「トリガー条項凍結解除」も揮発油税の話です。
「トリガー条項」とは、ガソリン価格が3か月連続でリッター160円を超えた場合、上乗せされている特例税率分の課税を停止しガソリン価格を引き下げる措置。
しかし現在は、東日本大震災の復興財源を確保するために凍結されています。
これを解除すると一旦は生活にゆとりが持てそうですが、恒久的な減税になるのではないかという心配の声があります。
トリガー条項の是非について考える前に、私はわからなくなっています。
「条項」の「凍結」の「解除」ということは、特例税率は残るのか停止されるのかどっちなんだい?
誰がこんな二重否定の表現を言い始めたのでしょう?