相続開始の前からでも発生が増えている、登記未了が原因の「所有者不明の土地」。
これを解決するため、相続した後の土地が管理できない場合に利用できる「相続土地国庫帰属制度」が昨年施行されました。
これで大金持ちだ
行ったこともなければどこにあるのかもわからないような土地の相続が巡ってきたとしたら、大抵の人は困ってしまいますよね。
「やった!財産がもらえた」だなんて、今のご時世そんなこと言う人ばかりとは思えません。
相続土地国庫帰属制度 なくそう不明者所有土地 どちらも政府広報より
元々こういうことで困っているのに
ただ悲しいことに、相続土地国庫帰属制度を利用するための要件が厳しいのです。
以下の場合には申請時に却下されるとのこと。
- 建物がある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
これに併せて、所有者不明であることもだってありますよ。
赤べこ伝説発祥の地(赤い牛の伝説)
仕事で福島県柳津町に行ったことがあります。
昔の担当者が滞納処分として差し押さえた土地の売却が可能かどうかの現地確認です。
私は職場に入って数年だったのであまりよくわかっていませんでしたが、同行させてくれた先輩たちの気持ちを薄々は感じていました。「こりゃダメだ」ということを。
事前に所有者や担保権者を見るための登記簿や土地の形状を見るための公図は確認済みです。
しかし差し押さえの対象である現地「らしき」ところは木々が鬱蒼としていて、もうどこからどこまでか境界はわかりません。ただの「林」。上のような、こんな感じのところでした。
土地が売却できるかどうかの基準は建物が建てられるかどうかです。ただの林に建物は建てられません。
ちゃんと話し合っておいてください
お父さんやお母さんたちがいなくなる前に、どんな財産(特に不動産)がどれだけあるのか聞いておくことが必要かと思います。
併せて相続予定者たちの事前協議がしっかりできていれば、これまで問題視されてきた相続土地国庫帰属制度や不明者所有土地のことを考える必要はないはずです。
相続人どうしの争いにならないうちに、最低限は口頭ででも遺言や遺産分割協議までできれば一番いいですね。