2024年8月9日に PayPayがデジタル給与払いを請け負う資金移動業者として初めての指定を受けました。
まず使用者(勤務先)が行うことは、
1.労働組合との合意協定を結ぶ。
2.労働者から同意書を得る。
3.PayPayが指定する銀行口座に労働者の給与支給相当額を振り込む。
あとはPayPayが労働者のアカウントの残高を増額させます。
ただしアカウントの残高は20万円が上限ですので、超過する金額はデジタル給与払いを利用することができません。その分は従来の方法である銀行口座への振り込みとなるのでしょう。
まず9月からソフトバンクグループ10社で始めて、年内に一般ユーザー向けに開始するとのこと。
8月10日付朝日新聞朝刊より
現金を持って帰らないと家族の冷たい視線が
原則の支給方法は通貨(現金)でありますが、
「使用者(勤務先)」
「労働者(受給者)」
「労働組合」
この三者の同意があれば通貨で無くてもいいという規定が、労働基準法第24条第1項ただし書きにあります。
毎月の給料日。
全額の現金が入った給料袋をカバンに入れたサラリーマンが、帰りの道中の色々な誘惑を振り払いながら帰宅する。
昭和時代はこれが普段の光景だと、ドリフ大爆笑やサザエさんでよく見ていたものです。
財布預金
宮坂さんの勤務先はソフトバンクグループではなく業種の違う中堅企業ですが、PayPayを頻繁に使っています。
ふと気付くと、宮坂さんのお財布の中には現金がずっと動かずに眠っていました。
ある日の夜。ふらっと入った感じのいい居酒屋で一杯。
帰り際に「当店は現金のみです」と言われた直後、極々低く小さい音で口を尖らせて舌打ちしてしまいました。
すかさず嫌がらせではないように見せかけて、さらに渋沢栄一でないことを確認して一万円札を取り出し、お釣りを請求。
手元の現金を千円札などの細かい紙幣や通貨にしたかったのは、同僚からの両替の依頼や次回以降の割り勘に備えるためです。
法律と技術、抜きつ抜かれつ
急に変わりますが、印紙税ってご存知ですか?
納税方法は、原則収入印紙という郵便切手に似た小さな証票を課税の対象となる文書に貼ります。
収入印紙を貼って消印を押したら納税が完了です。
ということは、文書が作られることが前提なのです。
文書を作ったら課税されるのに、FAXや電子メール(そもそも貼れません)なら課税されないのです。
印紙税法が作られた100年以上前には想定されていなかった、そういう税金です。
私が感心したのは、よく労働基準法がデジタル給与払いに対応できたなという点です。
条文が今のように規定されていなかったら、給与のデジタル払いはまだ認められなかったはず。
これからデジタル給与払いが普及すると、さらに現金の流通は減っていくでしょう。
その一方で、PayPayを駆使しつつも現金の両替や割り勘にも対応しようとする宮坂さん。
そんなデッドヒートがこれからも社会全体を良くしていくといいですね。