リハビリも書き写しも、ペースはゆっくりと

 小学1年生の宮坂少年は冬のある日、箱型の灯油ストーブの上部を誤って触ってしまい、右の手のひらに火傷を負ってしまいました。

 治療したその後1〜2週間は包帯が何重にも頑丈に巻かれ、ただでさえ小さな手のひらはまるで白いボールのよう。

 学校の授業では鉛筆を使って書くことが頻繁にあります。利き手である右手は親指がほんの少し動くだけで、何も握れません。やむなく鉛筆を左手に持ち替えてグーの手で掴んで書いていたそう。利き手ではないため力は入らず、文字は薄くてヨレヨレ。

目次

積み木のように重なる脊椎

 一般的には背骨(せぼね)や脊柱(せきちゅう)とも言われる「脊椎(せきつい)」。椎骨(ついこつ)という骨が積み重なることで構成されています。

 首部から臀部(でんぶ)に向かってさらに区分すると、このように区分されます。

 「頚椎(けいつい・けいずい)」
 「胸椎(きょうつい)」
 「腰椎(ようつい)」
 「仙骨(せんこつ)」
 「尾骨(びこつ)」

☆人工関節と関節痛の情報サイト「関節が痛い」脊椎のしくみとはたらき
https://www.kansetsu-itai.com/about/spine-ill/spine-ill001.php

全身の機能に幅広く影響

海底のケーブル(巨大うなぎではありません)

 特に首にある脊椎(けいつい)は脳と手足・体幹との間で運動や感覚の信号を伝える「太いケーブル」のような役割を担っています。

 もしここを損傷してその内部にある脊髄(せきずい:中枢神経の束)を傷つけてしまうと頚椎症性脊髄症(せきずいしょう)となり、首から下への神経の伝達が途絶えてしまって深刻な状況になります。

・運動機能の麻痺
・感覚機能の障害
・呼吸機能の障害

お父さんの思いに応えなきゃ

 ここで取り上げられている新井容子さんという方は、転倒により脊椎を損傷したとのこと。

 その影響で右手に障害が出たにも関わらず、それまで習慣としていた新聞のコラムの筆写を続けています。

 コラムの603文字を書き切るためにかかる時間は約1時間。1時間を60分=3600秒に換算すると、1文字を書くのに平均6秒かかってしまうという計算になります。

 利き手ではない手で書くことよりも断然大変なことを、この方は先に亡くなった夫への思いを伝えるべく書き続けています。

☆R7.12.15朝日新聞「天声人語」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16364086.html?iref=pc_rensai_long_61_article

 一番大変なのはきっと、2文字目の「欄」。

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