「国税局が裁判所へ脱税を告発」
「懲役及び罰金の有罪判決が言い渡される」
そういった記事なら何度も見たことはありますが、こんなこともあるのかと驚きました。
新聞記事
2024年7月30日付の朝日新聞デジタルに、とある漫画家さんが福岡国税局査察部の強制調査を受けたとの記事がありました。
新聞の記事によると時系列は、
・2022年 7月 福岡税務署から所得税確定申告書の提出が無いことを指摘されて税務調査を受ける。
・2022年12月 調査に従って福岡税務署に申告書を提出。
上の2つだけを見たら何にも不思議には思われないでしょうが、福岡税務署の調査中であるはずの同年10月に査察部の強制調査も始まったのです。
査察の情報なんて私は知りません
税務署に勤務していた頃、査察部の方と一言二言お話ししたことがあります。とは言ってもお察しの通り、査察部は部署の違う我々仲間内に対しても強制調査の情報を洩らすことは決してありません。
査察担当の方々は、提出された申告書などを確認するために全国各地の税務署に行くことがあります。
私が勤務する税務署に来られた際、私は「提出書類はここに保管されています」とご案内しました。すると査察担当の方々はそこで申告書や届出書を探し始めます。
私がそれを見て純粋に親切心だけで「申告書をお探しならお手伝いしましょうか?」と言ってみたのですが、至極丁重にお断りされました。もし手伝ってしまっていたら私に情報が漏れてしまうからです。後になって「しまった、そりゃ当然だ!」と悔いたものです。
まるで縦割り行政?
あくまで税務署は国税局の下部組織であり、部署が全く違います。福岡税務署も査察部とは情報を共有してはいけない関係です。
無申告を指摘しようとした福岡税務署よりももっと前から査察部は強制調査の準備をしていたとも考えられますし、無申告でなければ強制調査をしてはいけないわけでもありません。
・検察OBで弁護人弁護士が言う「税務署と国税局のボタンの掛け違いである」という反論
・査察部の強制調査の情報を共有できない立場である福岡税務署担当者が言ったとされる「支払い済み」の一言
そういった発言が裁判の中で被告(納税者)側からあったようですが、査察部の強制調査を否定する効果はありません。
難しい話になってしまいました。ごめんなさい。
最後にどうぞこちらもご覧ください。文字が大きいので驚かないでくださいね。