「それを知らない」と言えることとその人の信頼度は、実は深く結びついているのではないかと最近私は感じています。
というのも、以前宮坂さんという方が私にこう言いました。
「わからないと正直に言える人のほうが実は信頼されるのだ」と。
その言葉にとても感心させられた覚えがあります。
私は何でも知ってますよ、たぶん

誰かに何かを相談するときに「この人なら答えをくれそう」と思って話しかけることがありますよね。
特に専門家や経験豊富な人が相手だと、つい「何でも知ってるはず」と期待してしまいます。
けれども聞き手がその話しに対して知ったかぶりや曖昧な回答をされるほど、相手の不安を招くものはありません。
逆に正直に「今はわかりませんが確認してお伝えします。」と言える人は誠実さや責任感を感じさせます。
その姿勢が信頼へとつながっていくのでしょう。
現職だった頃のいい思い出
ある日私が相談を受ける側を担当したことがあった際、相談者の方から「話ができたからなんとかなりそう」「ありがとう」と言ってもらえたことがありました。
内容をすべて覚えているわけではないが、その言葉だけはしっかりと心に残っています。
その時の相談の趣旨に完璧な答えを出せた記憶はありません。
それに加えて「それはわかりません」ときちんと伝えられたかどうかももうはっきりしません。
しかし、私がそこにいたことで相手を前向きにさせることができたことはキッパリと言えます。
小さな信頼の芽を生むことができたと感じた一瞬でした。

ファクトチェック
何でも即答できる人は頼りがいがあるように見えますが、実際は無理して答えているだけのこともあります。
だとしたら相談者はとても不安になります。
最近軽んじられている感のある、ネット上でのファクトチェック。
大本である一次情報をできる限り追いかけるべきだという考え方も、ここでは有効ではないでしょうか。
ネット上の一次情報なら、相談するまでもなく誰の目でも確認ができます。
☆一般社団法人セーファーインターネット協会「ファクトチェックとは 定義・ルール・手法を解説」 https://www.factcheckcenter.jp/explainer/fact-check/jfc-fact-checking-101/
一緒に考えますよ

大事なことは「わからない」で終わらせるのではなく、その後にどう向き合っていけるかです。
ちゃんと考えてくれて放っておかないというそんな姿勢があると、相談者は「この人に相談してよかったな」って思えるでしょう。
特に税理士やコンサルタントなどは、すぐに答えることよりも相談者自身が気づけるように導くことがすごく大事だと思います。
相談する立場で話している途中からでも「そうかもな」と思えた時は、その答えが一番しっくりきたりするものです。
だからこそ全部知ってる人よりも「わからないことは一緒に考えますよ」と寄り添ってくれる人の方が信頼されていくのではないかと思います。
完璧でなくても、素直で誠実な人こそ長く頼りにされる。
私もそうありたく少しずつでもその道を歩いていきたいと思っていますし、そんな時代がこれからもっと広がっていくといいなと思います。