台所のコーヒーから発電

 富山県黒部市の市外に住んでいる宮坂さんは、ラーメンを食べて残したスープをトイレに流していました。流し台でもトイレでもどうせ行き先は同じだし、入り口も大きくて流す物もさして変わらないと思えばそれでもいいだろうと考えています。

 4月17日のTBSラジオの番組では、コーヒー豆の粕は下水溝に流しても構わないということを話していました。今までずっと下水溝に流してきた人も現実にはいたでしょうけど、改めて「自身はどうしていたか」と思い返す方もいらっしゃるはずです。

 番組内では何度も強調していましたが、これは富山県黒部市だけの話

☆TBSラジオ「台所から始まる発電 ~コーヒーも生ごみも、燃やさずエネルギーに~」 https://www.tbsradio.jp/articles/95114/

目次

市民に呼びかけている唯一の自治体

 黒部市役所では「コーヒー粕は下水へ」と呼びかけられています。

 おうちで飲むときに出てくるコーヒー粕はこれまで「燃えるゴミ」で出されるか下水に流すかされていたものを、燃えるゴミではなくあえて下水へ流します。

 粕自体は非常に小さいため、普通に下水に流しても詰まることはないとのこと。

 ただこの仕組みが実現した背景には、黒部市ならではの事情もあります。

 元々富山県内には大手飲料メーカーの工場があって、コーヒーかすを電気に変える仕組みはできていたこと。

 さらに下水処理施設には粕をすり潰す特殊な機械も導入されていて、下水管も少し太めに作られていました。

☆富山県黒部市 https://www.city.kurobe.toyama.jp/news/detail.aspx?servno=32618

メタンガスを作る

 このコーヒー粕を下水溝に流すと下水処理施設に集まります。

 毎日生活排水などによって出た汚泥とコーヒーの粕が施設に行き着くまでに合わさるとその泥が発酵し、メタンガスを出します。

 このメタンガスを燃やすことで電気を作ることができるのです。

☆環境省「メタンガス化が何かを知るための情報サイト」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/whatisbiogass.html

微生物の大好物

栗が大好物な、安上がりの良い子たち

 コーヒーの粕を利用する理由を下水処理施設を運営する会社に訊くと、コーヒーの粕は下水汚泥の約10倍のメタンガスが出ると言います。

 ドリップした後のジャリジャリの粕のままだと微生物がうまく分解できませんが、それを機械ですりつぶしてあげると微生物が食べられるようになってメタンガスがいっぱい出るのだと。

 しかも下水道管を使って集めるということは輸送の手間もコストがかからず、持続可能性(SDGs)の考え方に近づけるとして提案したそうです。

☆黒部Eサービス株式会社 https://kurobe-e.com

たしかにSDGs

 こんな話をしてからだと、宮坂さんのラーメンのスープもそれでいいかどうかはなんとも言いづらいですね。だからと言って外にバラまくのもおかしな話なのですが。

 黒部市以外にもゴミを電気に変える仕組みはすでにあり、コーヒー粕だけでなく生ゴミ全般において一棟のマンションの中で完結するところもあります。

 生ごみがマンションを照らす電気に変わるのであれば、ゴミ捨ての手間が無くなるとともに電気代の節約にもなります。

 以前は燃やしたり埋め立てたりするのが当たり前でしたが、こうやって日常の小さなゴミも貴重なエネルギーになる時代になっていると思います。

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