「相談料」「顧問料」「書類作成料」などという名目でやりとりされる報酬とその業務について、依頼主(クライアント)が「どちらもなるべく最低限で」という募集をしているところをよく見かけます。
しかし最低限の業務や報酬の適正額とは、一概に計算できるものではありません。
少なくとも士業が考える顧問料や相談料などの決め方は色々な要素が絡み合うものです。
例えば下記のような視点を持つと、お互いに納得のいく決め方ができるかもしれません。
依頼主にとっての価値をアピール

相談を始めることによって依頼主がどのような問題の解決ができるのか、どのようなメリットが得られるのかを話し合います。数値で示せればより効果的です。
もし追加料金が発生する場合は事前に明確にしておきます。
そしてこれからも価値が見いだせそうならば、長期的な関係性を築くことも視野に入れましょう。
初回限定の割引や、継続的なサポートプランなどを設定することも有効です。
経験と専門性

相談の受け手がどれくらいの経験を積んできたかは信頼の証しとなります。
その年数を重ねているほど、様々なケースに対応できる知識やノウハウが蓄積されているはずです。
もしそれが特定の分野に特化しているならそれは大きな強みです。
その分野の専門知識を持つ人材は貴重な存在ですから、相応の対価が設定されます。
資格や実績があれば、さらに説得力が増すでしょう。
他の人が持っていないような独自のスキルや物事を捉える特別な視点があれば、相談の価値が高まります。
過去の成功事例などが具体的に示されることで、依頼主もその価値を理解できるようになります。
相談内容の複雑さとそれにかかる時間

単純なアドバイスで終わるのか深い分析や資料作成が必要になるのかによって、かかる時間と労力が大きく変わります。
相談時間だけでなく事前準備や事後のフォローアップにかかる時間も考慮し、特に時間単位で料金を設定する場合にはこれらの時間も含めるべきでしょう。
報告書や提案書など具体的な成果物を提供する場合は、その作成にかかる労力も価格に反映させる必要があります。
相談内容の範囲は、事前に明確にしておいてください。
相談だけは無料

街中で「相談無料」という広告を掲げる相談事務所が目に止まる反面、インターネット上では宮坂さんという税理士が膨大な相談料を設定している広告を見かけます。
高価格帯で質の高いサービスを提供するか、幅広い層にリーズナブルな価格で提供するか。
宮坂税理士はこのようなことも「経営の戦略(方向性)」と捉えて価格設定をしているのでしょう。これはどんな業界でも同じかもしれませんが。
これらの要素を当事者同士が一つ一つ丁寧に折衝していくことで、きっと双方に最適な相談料が見つかるはずです。
お互いに焦らず、じっくりと考えていきましょう。