日本料理における基本的な調味料の順番を示す言葉からの問題です。
料理の「さしすせそ」は、日本人の食生活に欠かすことのできない調味料から一文字を取って、語呂合わせにしたものといわれています。
現代と同じように、これらの調味料は戦前の日本の食卓でも活躍しました。
これらの調味料を使う順番を覚えることで料理の味を引き立てることができます。
ところで明治時代から戦前までの間に、これらの調味料の中には税が課されなかったものが1つだけあります。
その料理の「さしすせそ」のうち、税が課されなかった調味料はどれでしょう。
さしす……?
- 「さ」:砂糖(さとう)
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甘味を加えるために使われる砂糖には、明治34年(1901年)に砂糖消費税が課されました。
当時の砂糖は輸入品が多く、ぜいたく品とみなされていました。
砂糖は他の調味料よりも早く溶けるため、最初に加えることで均一に甘味が行き渡ります。
- 「し」:塩(しお)
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塩は味を引き締めるために使います。
明治38年(1905年)に塩専売法が公布され、塩の専売制が始まりました。
その専売制へ移行する準備段階として、塩専売法の公布から施行までの間の短期間に専売目的で所有する者に対して課税がされました。
- 「す」:酢(す)
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酢は酸味を加えるために使います。
明治16年(1883年)の酒造税則によって課税が始まりました。
酢は酒を醸造した後に作られるものであるため、製造する過程で課税対象となる酒が作られる以上これにも課税すべきという考えに基づいています。
しかし酢への課税は、明治18年(1885年)に廃止されました。
「せ」も正解ではありません

- 「せ」:醤油(せいゆ・しょうゆ)
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旨味と塩味を加えるために使われているしょうゆ。
現在の読み方は「しょうゆ」でも、時期や地域によっては「せいゆ」と呼ばれていました。
これは「醤」の字が常用漢字に含まれておらず、一般的ではなかったから。
そこでこの表記を代用して「正油」という表記が使われるようになったと言われています。
NHKの放送では現在、どちらの漢字も使わずにひらがなで表示しています。
☆文化庁「常用漢字表」 https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
☆NHK放送文化研究所「最近気になる放送用語」 https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/154.html
☆株式会社大修館書店「漢字文化資料館」漢字Q%A
漢字文化資料館「しょうゆ」を漢字で書くと「醤油」ですが、「正油」と書くことはありませんか?|漢字文化資料館 中田祝夫『日本の漢字』(日本語の世界4、中央公論社、1982年。現在は中公文庫)に、「正油あります」と書いてある張り紙を見てびっくりした、という話が載っています。こ...
正解は「み」

- 「そ」:味噌(みそ)
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コクと風味を加えるために使います。
5つの中で味噌だけが課税されなかった理由は、明治18年(1885年)醤油税則の法案審議にみることができます。
この審議記録である「元老院会議筆記」によると、生活困窮者は醤油よりも味噌を消費するという当時の実態を考えると味噌への課税はこれらの人たちに大きな負担をもたらすと判断されたようです。
またもともと味噌は自宅で製造される場合が多く、商品として流通するものは少なかったからです。
料理に入れる順番も守って
調味料は「さしすせそ」の順番で加えることで、各調味料の効果を最大限に引き出すことができます。
この料理の基本を押さえることで、より美味しい料理を作ることができるでしょう。
そして、本業はミュージシャンであると言い張る宮坂さんにも料理の心得に必要なものをお聞きしました。
- 「ド」:どんぶり
- 「レ」:レシピ
- 「ミ」:みそ汁の素
- 「ファ」:ファミリーマート
- 「ソ」:みそ汁の具
- 「ラ」:ラー油
- 「シ」:しょうゆ
アイラブ…
さていったい何が出来上がるのでしょうか?
すると、すかさず宮坂さんはそそくさとコンビニに逃げて行くのでした。