ラジオ番組の最後何秒かに一言入れる終わり方は後味がいいですよね。
テレビの生放送でも見聞きする演出ですが、いざその番組に出くわすとカッコいいなと感じます。
番組を良くするための制作者への呼びかけ
千葉県八千代市にあるコミュニティラジオ放送局「ふくろうFM」のガイドラインでは、制作される番組が10分間の場合9分45秒(終了の15秒前)までに「さようなら」や「また来週」といった最後の一言を入れた後にエンディングテーマで終わることが推奨されています。
コミュニティラジオ放送局は全国や都道府県単位で名の知られた放送局ではない、およそ市町村単位を聴取区域とされています。
放送業界では半ば常識とされていることをあえて「規約」として明記しているところに、みんなでラジオを良くしていこうという愛情を感じ得ます。
次の回までー、ごーきーげーんよう♪
ラジオ番組の最後の数秒間にパーソナリティが一言を添えてリスナーに心地よい余韻を残すこの手法は「アナ尻」とも呼ばれ、番組の締めくくりとして重要視されています。
短いメッセージが番組全体のテーマや雰囲気を締めくくり、リスナーに深い印象を与えて番組の余韻を強調します。
そしてリスナーとの距離を縮め、親近感を感じさせます。
「また来週」などの言葉があればリスナーに次回の放送への期待を持たせ、継続的な視聴を促せるのです。
特にテレビでは悲しいかな、いつの間にか終了時間を過ぎてコマーシャルも無いまま次の番組が始まっているときもあります。
YouTubeでさえ動画の終わりを挨拶してくれた後に「次の動画まで〇秒前」と表示してくれるのに。
ただ「アナ尻」は存在し得ませんけど。
正午のNHKニュースをお伝えします
私が思いつく中では、例えばテレビニュース。
おおよそのニュース番組は放送時間ギリギリまで伝えていたり、その時間が余ったら同じ話題を繰り返したりします。
そこで「繰り返しお伝えします」なんて言われたら、よほど緊急性のある重要なニュースなのかなと改めて聞き入ってしまいます。
複数人の出演者がいる場合はラジオのようにフリートークでまとめます。
TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」では番組が終わる午前6時29分のおよそ3秒前に毎回「Have a nice day (金曜日の放送ならweekend)! and, good lack!」とアナウンスして、エンディングテーマとともに番組が終わります。
ですからそれまでに何かしらの告知や宣伝は済ませ、フリートークをしていればその話題は切り上げないといけません。
落語家の春風亭一之輔さんも自身が出演するラジオ番組について、このアナ尻の技術を「職人芸」として文章にしています。
☆週刊朝日「AERA dot.」 https://dot.asahi.com/articles/-/70584?page=1
スタッフさんが毎回計時ミス?
こんな番組もあります。
私の地元のRKBラジオでは仲谷一志さんという方がラジオ番組をしており、この方の番組はエンディングテーマが先に終わります。
そして無音になる最後の5秒くらいの間に、その日の番組のまとめのようなことを言わないといけないのです。
緊張感がこちらにも伝わってきます。
このように、番組の最後に一言を添える演出はリスナーにとって心地よい後味を提供し、番組の魅力を高める効果的な手法と言えます。