だいぶご無沙汰になっていた「タックス」の話題です。
今回は所得税の源泉徴収についてです。
事業を営む方に限らず、税理士に依頼した後に「税理士が見てくれているのだから源泉徴収のことは気にしなくていいかな?」なんて思ったことはありませんか?
「そんなのしなくていいよ」と堂々と言う人の話はあまり聞いたことがなく、しかし現職時代での肌感覚を今一度思い返してみるとなんとなく引っかかる思いがしてきました。
源泉徴収が必要なケースとは?
税理士や弁護士など士業の専門家に支払う報酬は、所得税の源泉徴収が必要です。
具体的には、確定申告書の作成や税務相談などの業務に対する支払いが該当します。
「調査費」「日当」「旅費」などの名目で支払われるものも源泉徴収の対象となる報酬に含まれます。
ただし、その報酬の支払者が従業員への給与を支払っていない個人の場合は、源泉徴収の義務はありません。
純然なサラリーマンの給与所得者なら源泉徴収は不要ということです。
☆国税庁タックスアンサー No.2793「報酬・料金等の源泉徴収義務者
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2793.htm
源泉徴収をした後の金額を専門家にお支払い
1回の報酬支払い額が一定額以上であれば源泉徴収が必要となります。
源泉徴収税額は、支払額に10.21%の税率(復興特別所得税を含む)を乗じた金額です。
例えば、税理士報酬が10万円の場合の税額は「100,000円 × 10.21% = 10,210円」です。
この場合は税理士には89,790円を支払い、源泉徴収した10,210円は税務署に納付する必要があります。
☆国税庁タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm
書いている私も心配に
源泉徴収の計算を怠ると税務調査で指摘されて、所得税が追徴される可能性があります。
以前に当局側にいた頃の私も「税務調査で指摘される」の点を心配していました。
税理士報酬の支払い時に源泉徴収が必要かどうかは、支払う側の状況や報酬の性質によって異なるのです。
もしその状況や性質について調査担当者との認識に差があってしまうと、思わぬことになりかねません。
例えば支払いの相手を士業の専門家(税理士など「士」のつく人全般)と認識して書類の作成などを依頼したのに、通常の仕事を外注に出したかのような「外注費」として経理をしてしまっていた。
するとその分の源泉徴収は忘れてしまうでしょう。
逆のケースで、
「相手が士業の専門家であるという認識が自らではし得なかった」
「依頼内容がよくわからないまま話が進んでしまった」
こういったことがあり得るのかまではなんとも言えませんが、もしこんなことが起きたのであれば何かしら訴え出る余地はあるのではないと思います。
納税者側としては上の例に限らず、まずは「身の潔白」を保ち調査担当者から指摘されても堂々と状況を説明できるような行動をしましょう。
最近の法改正といったらもう
最新の税制改正に対応するためにも、国税庁ホームページなどさまざまな方法で正確な情報を収集してください。
2023年以降も特に電子帳簿保存法の改正によって税務処理の簡略化が進んでいます。
最近のニュースでもここでは上げきれないほどの事案があります。
さらなる最新の情報について思い当たったことがあった時には、税務署や専門家に相談されることをお勧めします。
特に事業主の方は、適切な手続きを行っていただくためにもぜひ一度相談してみてください。