私がクラリネットを始めたのは中学生の頃の部活動でした。
練習する場所が学校の部活ですから、楽器が与えられてしばらくもすればすでに完成された楽譜が手元に用意されます。
曲の多彩な音を合体
原告である楽譜の出版社が作成した楽譜を他者が模倣して公開していたことについての裁判判決が、朝日新聞で報道されました。
訴えていた出版社は、楽曲の全ての演奏情報をまとめた音源を聴き分けてそれを楽譜におこして(採譜して)販売していました。
それを利用した被告のWEBサイト制作会社は出版社によって採譜された楽譜を出版社から正規に購入し、無料で楽譜を公開。
公開された楽譜を閲覧する者向けの広告を掲載して広告収入を得ていました。
今回の東京高等裁判所二審の判決では出版社側の逆転勝訴。
音楽出版業界が衰退し音楽文化の発展を阻害しかねないとの懸念が示され、無断での楽譜の模倣は許されないとされました。
朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/articles/DA3S16082261.html?ref=pcviewer
ドレミファソラシ、みー
楽譜を作ることはとても手間がかかることです。
上で「全ての演奏情報をまとめた」と書きましたが、1つの演奏情報だけでも聴いてくれるであろう人のことを思いながら作らなければなりません。
歌詞も簡単に出てくるとは限りません。出来上がった歌詞に音階(ドレミファソラシド)に載せます。曲によっては「メロディの音階が先にできた」という話をされる方もいますが。
より感情を込めたり聴きやすくするためには、歌詞やメロディに加えて伴奏(他の演奏情報)も作られます。
いくら音楽に携わっていても楽器の特性や音楽理論などの知識が必要であり、そうそうできることではありません。
ただただ演奏をするために楽譜を閲覧したいと思うエンドユーザーの立場からしたら、楽譜の出版社から代金を払って購入するよりも無料で取り寄せられるほうがずっと有利でかつラクです。
安倍晋三さん出演の動画も評判に
コロナ感染症によって行動の自粛が呼びかけられている最中、星野源さんが自身で作った楽曲をネット上で公開しました。
著作権そっちのけで「家の中で楽しくなれる曲」を作り、自由な活用を呼びかけたと言われています。
YouTube動画に加えて、楽譜は所属事務所の許可の下で今も公開されています。
ヤマハ「ぷりんと楽譜」 https://www.print-gakufu.com/scene/detail/2108
実際に演奏会で歌いました
私がさらに目の当たりにした楽譜は、宮城県の民謡「斎太郎節(大漁唄い込み)」。
コーラスのサークルに入って渡された楽譜は相当に古く、かつ手書きです。
何回もコピーされているようで、そのせいで読めないところばかり。
楽譜を作成したであろう人の名前が楽譜にありましたが、肩書きは作詞者や作曲者ではなく「採譜者」。
昔ながらの民謡なので、いつ誰が作ったかもわからない曲なのでしょう。民謡のいいところですね。
創作の多くが他人の模倣から始まるという考え方はどんな場面でも見受けられるはずです。
模倣のどこからが不法行為かという線引きはとても難しいと思います。