中小企業が金融機関から融資を受ける際に、金融機関は融資についての連帯保証を経営者個人に求める場合があります。
そんなのどこが違うのかと言われそうですが、これは大きな問題です。
この制度は日本の中小企業融資において長年利用されてきましたが、もし経営が悪化した時には経営者個人の生活や財産が脅かされてしまいます。
そこで近年、制度の見直しと移行が進んでいます。
経営者保証の仕組み
これまでの制度での経営者は、企業の借入金についての「連帯保証人」にさせられるケースがたくさんありました。
連帯保証人は企業が借入金を返済できない場合に、企業に代わってその借入金を全額支払う義務を負います。
これにより企業の信用だけでなく経営者個人の資産を担保にできるので、金融機関にとっては融資のリスクを軽減できます。
企業経営者保証のメリットとデメリット
どの企業でも不動産などの有形資産を担保に差し出せるわけではありません。
中小企業は大企業に比べて信用度が低いため、金融機関が融資を行う際には物的担保(例えば不動産)や人的保証(保証人)を求められることが一般的です。
それを用意できれば金融機関の融資審査は通りやすくなり、事業資金を確保しやすくなるというメリットがあります。
ただし、保証をすることになった経営者は個人としてのリスクを常に意識する必要があるため、事業拡大や新規投資といったリスクのある挑戦が難しくなってしまいます。
将来が恐ろしくて事業継続できません
経営者保証の負担を軽減するために、2014年に中小企業庁と金融機関が連携して「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。
このガイドラインには既存の保証契約を減らすとともに、新規に保証契約を求めない取り組みが図られています。
例えば会社の財務が透明であり健全な経営が行われている場合や企業の経営と経営者個人の資産を明確に区分できている場合、金融機関から経営者保証を求めないよう推奨されています。
そして、経営者保証により破産してしまった経営者の再起を支援するための仕組みも導入されています。
経営者保証ガイドライン | 中小企業向け融資に関する相談窓口 | 一般社団法人 全国銀行協会
その融資、経営者保証が必要ですか?
今後、経営者保証に依存しない融資制度や新しい金融商品がさらに普及することで中小企業経営者の負担が軽減され、より自由な経営活動が可能になると期待されています。
中小企業の経営者は経営者保証のリスクを十分に理解し、適切な資金調達方法を検討してください。
金融機関や専門家とよく相談しながら経営の健全化を図ることが、事業の成功へのカギとなるでしょう。