FP(ファイナンスプランナー)とは弁護士のような専門的立場ではなく、汎用性を持って士業同士を結びつける存在でなければならないという考え方があります。
例えば税法学という学問の実践は税理士が行いますが、もしその士業資格を持っていなければその専門分野は深く踏み込んではいけない領域です。
人が生きていく上での様々な場面
パーソナルファイナンス(個人としての資金管理)とは、金融資産や実物資産全体の資産管理およびリスクマネジメントが問題になります。
生命の歩みでは、誕生・成長・成熟・老化・死亡といったサイクルがあります。
そして労働・納税・消費・貯蓄・投資という多様な領域とともに、その都度訪れるであろう場面を包括的あるいは全体的に見ていかなければなりません。
人的資産も必要
仮に資金がたくさん増えたとしても、それを増やした後のことを考えていなければ意味がありません。
人的資産がいかに資金を生み出すものかを考えさせるということです。
精神心理的な観点でも、個人の考え方に基づいた価値観を持ったライフデザインの目標が必要です。
そんな中でFPが相談を受けようとするためには、心理学・倫理学・哲学・宗教学・歴史学といった人文科学系の学問においての素養が重要になります。
こうした学問を活かしながら、それを一個人のファイナンスに具体的に適用してプランニングしていく仕事です。
「無知の知」「イデア」を唱えたのは誰か?
人文科学系の勉強と言えば、高校で「倫理」という科目がありました。
しかし残念ながら当時の私にとっては、哲学者が語ったキーワードとその時代の背景を「世界史」と並列させて学習する暗記科目のようなもの。
100点満点の定期テストで20点しか取れなかったことが今でも悔やまれます。
どうせ「こいつに倫理は無いのか?」と思われたでしょう。
とても親切に接してくれたクラス担任の先生の科目でもあったのに。
いくら貯めたら抱えられるかな?
私が就職した後に母親からこう言われたことがあります。
「お給料をもらって無駄遣いをしないようにすることはいいことだけど、札束を抱えながら人生を終えたらダメよ」「食事くらいちゃんと摂りなさい」と。
何(誰)のための手元資金かということを意識すべきだと、今も認識しています。
私の母親は特に士業の資格があるわけではありません。
そしてFPも士業ではありません。(士業資格を取得した上で兼ねている人はいます)
ただし、この場面に踏み込むことは士業の資格がなくてもできます。
「資金管理」と「生命の歩み」の両方を考えていくこの仕事は、今まで経験できなかったクリエイティブなところに魅力を感じています。